2012年8月30日木曜日

132. 次のX(いい予感)

兼ねてから噂のあったFujifilmのレンズ交換式ミラーレス機「X-Pro1」の「弟分」が、その姿を現した。

と言ってもまだリーク情報に過ぎず、正式発表が待たれるところだが、画像を見る限りかなりいい感じなのである。



出展:デジカメinfo 富士フィルムX-E1の前面・上面・背面の画像


名を「X-E1」というらしい。
兄貴分のX-Pro1とはセンサーが共通であり、つまり、APS-Cでかつローパスレスということだ。X-Pro1と同様に、先鋭度の高い画像が得られるだろう。

まず、注目したいのはファインダーだ。
OVF(光学ファインダー)とEVF(電子ビューファインダー)のハイブリッドだった(ハイブリッドビューファインダー)X-Pro1と異なり、X-E1はEVF一本に絞っている。
これは、大変賢明な判断だったと思う。

CP+2012で富士フィルムの方に聞いた話では、もともとハイブリッドビューファインダーは、OVFがベースだったとのことだ。

OVF上にパララックス補正した枠(この範囲が写りますよと示す枠線)が出たら面白いよねという話が出てきた→だったら液晶を光路上の間に噛ませればいいよね→だったらOVFの窓を塞いでしまえばそのままEVFになるよね。
といった流れで、技術者達が盛り上がり、実際に生み出されたという逸話がある。

つまり、技術者からすると、OVFありきで始まったモデルで、廉価版を出すとしたら「OVF一本」という方向性も考えられたわけだ。(実際、ハイブリッドビューファインダーを搭載しているX100の弟分であるX10はOVFのみである)

しかし、レンズ交換式であることを考えると、望遠側のレンズを付けた際に、EVFならば望遠の拡大された視野が反映されるわけだが、OVFの場合、表示される枠線が小さくなるだけで写らない余白部分が相対的に大きくなってしまう。
100mmを越えたら現実的にはEVFしかあり得なくなるだろう。

さらに、OVFの場合、確かに素通しで明るいことは明るいのだが、ピントの山が分からず、どこにピントがあっているのか分かりにくい(というか分からない)という問題もあった。

さらに、AFのスピードと精度にもやや難がある印象で、せっかくボケのきれいなAPS-Cを選んでいるのにもったいないなぁという印象だった。

僕はX100ユーザーなのだが、やはりAFには手こずっていて、これは何とかなってほしい。また、OVFよりも結果的にEVFの方が使用頻度が高いという状況にもある。

というわけで、個人的には「弟分には絶対EVFを」と思っていたが、実際そうなって、まずはホッとしている。

さて、次に重要な変更点は、デザインだ。

X-Pro1と比較してみた。



注目すべきは、X-Pro1で賛否両論だった軍幹部左の「なで肩」が、X-E1ではなくなっている(水平に戻っている)ということだ。
賛否両論と書いてはみたものの、実際には恐らく「否」の方が多かったと思われるので、これはデザイナーの英断だったと言ってもいいと思う。
惜しむらくは、X-E1のロゴがややサイバー過ぎる所だが、現代のカメラなんだし、そこは良しと考えよう。

さて、X-Pro1と比較すると、サイズもややコンパクトにまとめられている。
以下は、マウント径を画像上で合わせたもので、縮尺は大体合っていると思う。


もちろん正式発表を待つ必要があるが、このくらいの違いであれば、視覚的にも、触覚的にも小サイズ化を感じられると思う。
特に、OVFとのハイブリッドを諦めたことで、軍幹部が短縮し、全体としてやや横長となった点は、カメラとしての納まりが良くなっており歓迎したい。

残る問題は、AFだろう。

背面を見てみると、「MACRO」ボタンがある。


これはつまり・・・このボタンを押さなければ近接撮影に持っていけないということか。
この点は一眼レフユーザーとして、不便さを感じる所かもしれない。
やはりコントラストAFだと近接と遠景の大きなレンズ移動は厳しいらしい・・・。この辺りは、位相差AFにどうしても軍配が上がってしまう。折衷案として、像面位相差AFの搭載があると思われるが、さてX-Trans CMOSセンサーには載るのだろうか?ベイヤーの計算が通常のものより複雑そうなのだが、位相差AF用のセンサーを乗せられるのだろうか。
(なお、X-E1にはほぼ間違いなく搭載されないだろう。恐らく、X-Pro1 Mark IIのような次のメジャーアップデートの目玉にされるはずだ。そして、もしそこまで行けば、システムカメラとしての完成度は飛躍的に向上するだろう。)

とはいえ、AFの改善も噂されており、X-Pro1よりも良くなっている可能性は残されている。また、ピーキング機能が優秀なシリーズなので、恐らくMFに割り切ればかなり軽量で、高画質の頼れる相棒になりそうだ。

FUJINONレンズの柔らかなボケ感はかなり好きなので、是非良い物としていただきたい。
頑張れ、富士フィルム!