2010年2月24日水曜日

047. 徒然なるままに(定型化、インフルエンザ、コンデジ)


多くの現象や経験から、
ある特定のパターン(規則性)を見いだして、
ひとつの結論(法則など)を導き出す。
こういった帰納法的な思考で、日々、学問の世界はその領域を広げている。
さらに、そういった「人類が見つけ出した法則」から、
ある現象や未来を予想する、
といった演繹的な推論も学問においては併せて重要である。

このように、
過去の現象法則:帰納法的思考
法則未来の現象:演繹的推論
といった両輪が人間の合理的な思考の支柱となっていることは古典的な論理学が指摘しているとおりである。

しかし、現実の世界、特にビジネスシーンや人間関係といった世界においては、多くの経験から帰納法的思考に従って一生懸命紡ぎ出した教訓、フローチャート、法則などが、うまく役に立ってくれないことがある。つまり、帰納法的思考で法則を手にしたはいいが、演繹的にその法則を使用しようとすると、失敗してしまうことがある。

「こういう場合は、こうする。
 こういう場合は、このようにする。
 こういった場合は、これとそれをする。」

と言うような、虎の巻やフローチャートや法則やデシジョンツリーを一生懸命作っても、それらパターンが「前提としている条件」を現実が満たしていないことが多いからだ。
現実の条件は、理想的な「均質な条件」とは大きく異なっている。
その認識が重要だ。

こういったことは、科学の実験をしたことがある人なら、ははーん、と思っていただけると思う。
実験を行う時、僕たちは複数のパラメーター(結果に影響を与える可能性がある条件のこと。例えば、ある化学反応を行ってその反応の速度を調べたいなら、温度や反応物質の濃度がパラメーターとなる。)のうち、ほとんどの条件を固定して、ひとつのパラメーターのみを動かして実験を行う。
なぜなら、同時に複数のパラメーターが動いてしまうと、「何が原因で結果がこうなったのかわからない」からだ。
しかし、現実には複数のパラメーター(人間関係なら、複数の人間の思惑や立場、権限の範囲などなど)が同時に動くので、ひとつの法則で現実をぶった切ろうとしても、そうは問屋が卸さないのである。

さて、さらに科学的な実験では、系(対象としている世界。化学反応なら「フラスコの中」のこと)をとにかく純粋にする。A+B→?という反応があった場合、?の部分を知りたいわけだが、そのときはフラスコの中にAとBのみを入れることにする。AとB以外にC
DやHやYが入ってしまうと、どんな反応が起こるのか、何かの反応が起きたとしても、それが求めたかったA+Bの反応の結果なのかわからないのである。

このように、ある規則性を見いだしたい場合、系を出来る限り純粋にする、シンプルにすることで、特定の反応やシグナルや規則性を検出しやすくしているのだ。そして、そういった「シンプルな系」から導き出されるのが、「法則」である。つまり、法則はある程度、「シンプルな系」を前提条件としているのだ。

しかし、現実には、AさんとBさんだけで仕事をしているわけではなく、CさんやDさんやHさんやYさんが入ってくるわけである。それも、それぞれの思惑を持って。かくして、ある法則やフローチャートを現実の仕事に適用しようとしても、破綻してしまうのである。
ちょっと仕事を例に出し過ぎですが、仕事で何かあったわけではありません(笑)
とある研修で変なプレゼンがあったのでちょっと考えてみたことをそのまま記載しているだけです。)

では、帰納法的な思考で法則性を見いだすことや見いだした法則性をもって演繹的な推論を行うことは、現実の世界では無意味だろうか?

否。
僕が理想的だと思うのは、「法則性」を知っていながら、かつ「現実の複雑性・不確実性」を考慮しつつ、演繹的に推論し「予想される未来」を参照しながら行動をする、ということだ。

法則性というのは、ときにその世界の常識(知っていないといけない基本的な事柄)であったり、効率的な常套手段であったり、先人が築いた知恵であったりする。それを初めから否定していては、ものすごく遠回りをしいられる結果になりかねない。

一方で、現実は常に複数のパラメーターが同時に動く、夾雑物の多い、ヘテロジーニアスな系であることから、その法則が役に立たないかもしれないリスクは考えておくべきだ。
その上で、演繹的に未来の「あたり」をつける。
「このくらいやったら、こんな結果になるかな」と。
その「仮想の未来」を参照しながら、力をかけたり力を抜いたりしながら、「よりよい未来」の実現のために行動する。
これが現実の世界における、問題解決のひとつの枠組みと言えるだろう(あ、またひとつ定型化してしまった・・・(笑)つまり、この結論にも何らかの前提条件があって、その条件を現実が満たさない場合は適用できないわけで、・・・以下略。)

さて、話は随分変わるが、最近気になっている話題を二三書いておこう。

1)インフルエンザの流行:その後の顛末
2010年2月24日現在、インフルエンザの流行はピークアウトしたと見てよさそうである。
参考までに、比較的更新が早い地方衛生研究所ネットワークの首都圏のインフルエンザ患者発生数を以下に示す。

出典:http://www.chieiken.gr.jp/infulurep/pub/rep.do

4つ前の日記「2009年12月17日 新型インフルエンザについて(素人の戯れ言)」で、「季節性インフルエンザに由来する二峰性のピークはないだろう」と予想していたが、大体そのとおりのようだ。

上記のグラフを見てみると1月の1週付近で一度落ち込んでいるが、これは正月休みの影響で毎年見られる現象だ。その後の立ち上がりは、ピークというより、年末から続くピークアウトのショルダーと考えた方が自然だろう。

さらに、ウイルス型を見てみよう。
以下は国立感染症研究所感染症情報センターが出している感染症発生動向調査週報2010年5号からの抜粋である。

出典:http://idsc.nih.go.jp/idwr/douko/2010d/05douko.html

2009年末に紹介したものからほとんど状況は変わっておらず、99%以上が新型インフルエンザだ。

「季節性インフルエンザは淘汰されてしまうのではないか。」

という予感は、現実のものとなりつつある。
しかし、東京都の健康安全研究センターの検査結果を見てみると、少し面白いことがわかる。

出典:http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/swine-flu/virus/virus.html

ほとんどが、新型インフルエンザを意味する青い棒グラフになっているが、
一番右側の棒グラフに注目すると、わずかだがB型インフルエンザウイルスが検出されているのがわかる。

B型は新型の猛威に負けず、ほそぼそと生き残って行くのかもしれない。
僕は去年の12月の段階で、季節性インフルエンザのうち、
AH1亜型は、淘汰。
AH3亜型は、生き残る。
B型も、生き残る。

という予想をしていたが、どちらかと言うと、
AH1亜型とAH3亜型が淘汰。
B型のみ生き残る。
というのが正しいかもしれない。

こればかりは、恐らく次のシーズンにならないと確かなことは言えないが、いずれにせよ、今後も注意を払っていこうと思う(趣味的な興味として)。


2)デジカメ新製品のアレコレについて
以前から写真好き&カメラ好きだったのだが、最近、だんだんと度が過ぎつつある。いつのまにか価格.comの新製品欄を毎日欠かさずチェックするようになっているのである。
もはやこの勢いは自分では制御することができないレベルに達しており、結構重症なカメラオタクになりつつあるかもしれない。

さて、そんな日々の情報収集から思ったことを二三点挙げておきたい。
カメラに興味のない方には、ひどく退屈な話題です)

【トピックス 1】
リコーGXRのラインナップに、「GRレンズ28mm」が加わった。

出典:価格.com「リコー、GXR用カメラユニット新モデル2機種を開発」
2010年2月23日

これはかなり衝撃的なニュースである(一部の人にとって)。
高級コンパクトデジカメとして、特異的かつ不動の地位を保っていたGR-Dだが、ここにきてGR-DのレンズがGXRでも使えるということになると、GR-Dの立ち位置が微妙になってくる。
というよりも、正直言って本家のGR-DよりGXRの方が優れていると言ってもいい事態になってきたと言える。
レンズが(ほぼ)GR-Dと同じであり、さらに撮像素子がGR-Dよりもはるかに大きいAPS-CサイズのCMOSセンサーなのだ!

・・なのだ!
とか力説しても本当に一部の人にしか分からないかもしれないけど。。
これは結構スゴいことだ!(めげない人)

撮像素子が大きいということは、それだけ大きな画面に印刷してもなめらかな階調性が保たれるということだ。また、単焦点レンズが得意とする綺麗なボケ味もセンサーサイズが大きいだけでさらに良質になる(ただし、GRレンズはむしろ絞り込んだカリッとした絵に定評があるが)。特にGRレンズであれば、マクロ撮影をした際の背景のボケっぷりに差が出てくるはずだ。恐らく、このボケ味の美しさは、そのままいい写真に共通する「立体感」へと昇華するはずだ。同じ対象をGR-D IIIとGXRで撮り比べたら、マクロのときに顕著な差が出るはずだ。
まぁともかく、ざっくり言えば本家GR-Dよりも良質な絵が得られるだろうということだ。

リコーにとってGR-Dは「看板」であるだけに、相当思いきった決断をしたなぁと思う。と同時に、GXRにかける情熱と心意気に敬意を表したい。

僕はこのニュースを見た時に、
「ああ、リコーはGXRという新しいシステムに本気なんだな。」
と感じた。
意志のある商品開発だと思う。
思うに、社内の逆風も相当あったのではないだろうか。
「そんなことをしたら、GR-Dが売れなくなる!GR-Dこそがリコーのハイエンドのはずだ!」
想像に容易い。GRが積み重ねてきた歴史もある。
しかし、それを押してまでGRレンズ搭載のカメラユニットを作ったGXRのチームはえらい!(以上、完っ璧に推測だけど)

と、ほめ倒しておいて、結局今のところ、買う予定はないのだが。。(笑)
リコーには、この新しいシステムを突き詰めていってほしい。
いずれ、ゆとりが出てきたら是非手にしたいシステムだ。


【トピックス 2】
シグマの高級コンパクトデジカメDP1sとDP2が、新モデルDP1xとDP2sに代替わり。

出典:価格.com「シグマ、「TRUE2」搭載デジカメ「DP1x」&「DP2」」
2010年2月22日
http://news.kakaku.com/prdnews/cd=camera/ctcd=0050/id=10459/

何を隠そう、このDP2というカメラは、ここしばらく購入を検討していたモデルで、結構な思い入れがあるのだが、いまいちこの新モデルの新しさが分からない(笑)
(まぁしかし、DP2を焦って買わなくって本当によかった。。やはり、店頭での緊急値引きセールは「新製品発売フラグ」として信頼性がありそうだ。それにしても、今月号の日本カメラにDP2の宣伝を大々と載せてるにもかかわらず、その月に新製品が出るっていうのもどうかと思うのだが。。)

さて、DP1xにしてもDP2sにしても、TRUE2という画像処理エンジンを搭載しているとのことだが、そもそもDP2にはTRUE2が載っかっていたわけでちっとも新しくない。さらに、記事ではAEモードが4種類とあるが、それだって現代のカメラでは当たり前の機能だし、、、

むしろ、業界「最遅」の合焦スピードをなんとかしてくれ!
と思っていたら、ありました、ありましたよ。
シグマの公式ページに、「AFスピードの高速化」と。

出典: シグマ デジタルカメラ
http://www.sigma-photo.co.jp/camera/index.htm

あとは、この「高速化」というのが、GXR並(それは決して早い方ではないが、イラッとくる程でもない)であれば買いである。

あ、
あと、欲を言えば背面の液晶が23万ドットというのがいただけない。
同じクラス(と勝手に認定している)GXRは92万ドットで、かなりの美しさだ。
背面液晶にはこだわらない、と公言していた僕もGXRやGR-D IIIの背面液晶にはクラクラきてしまう(笑)まるでプリントした写真がそこにあるかのようなのだ。
せっかく新製品を出すなら、せめて50万ドット程度は目指してほしかった。

それから、TRUE2のホワイトバランスも改善してほしい点だ。基本、RAWで撮ることを前提とするとしても、背面液晶で確認したときの「撮れた!」感がそこなわれてしまうのは残念なことである。(もしかしたら、DP2sでは何らかの改善があるかもしれないが)

あと、今回はマイナーチェンジということだから・・・ということだと思うが、公式ホームページがDP2のときからほとんど変わっていないというのも「なんだかなぁー」と思ってしまう。
作例まで一緒なのだから、今回の新モデルは本当に「超マイナーチェンジです」と言っているようなものだと感じてしまう。(お金がないのか?)

せっかく、いいレンズ(35mm換算で41mmという非っ常ーに美味しい焦点距離。正直、日常を切り取るという意味で考えると最適と言える。さらにF2.8という必要十分な明るさ。もぉーったまらないっ。)と、いい撮像素子(FoveonX3ダイレクトイメージセンサー。作例を見る限りかなりいい絵を吐き出す。)を持っているだけに、周辺技術が未成熟なことは非常に残念である。。
もともとレンズメーカーなのだから・・・ということもあるけれど、例えば、カメラメーカーとアライアンス組んで周辺技術の提供を受けるとか、そんな選択肢はないんすかねー。

今回のDP2sは情報を見る限り、上記の点はそれほど改善していないように見える。
DP2sがDP2xとなるときに、大幅な改善がなされることを祈ろう。(若干望みが薄いが)
そのためには、シグマのレンズが売れまくったり、DP1xやDP2sが売れまくって、開発資金が貯まらないといけないが、、
みなさんもぜひシグマ製品を買いましょう!(笑)

上では随分と辛口なことを書いてしまったが、それもDP2が非常に魅力的な開発コンセプトを持っているからだ。
エントリー機~中級アマチュア機のデジタル一眼とほぼ同じサイズの撮像素子を有しながら、マイクロフォーサーズシステムを使ったオリンパスやパナソニックのマイクロ一眼や
リコーのGXRよりも、軽く小さなコンパクトデジカメが、DP1やDP2である。

しかも、RAWでうまいこと現像すれば、そこらのデジタル一眼を凌駕するような絵をポコッと吐き出す。

「気軽に持ち出せて、頼れる画質。」

昨今、流行し出した、マイクロ一眼のひとつの完成形がここにある、と(勝手に)思っている。だからこそ、頼むから周辺技術をもっともっと進化させてくださいシグマさん!いや、シグマ様!マジで、ここは、ひとつ頼んます。

・・・ということで、今日もカメラに夢中な一日でした^^;

listening to 「マスターdog / EGO-WRAPPIN’