2011年9月22日木曜日

099. ミラーレスのニコン(戦国時代?)

兼ねてから噂があり(海外サイトではQマウントと言われていた。今となってはPENTAXが同名のマウントを出してしまったので変なかんじ)、
さらに、日経新聞にすっぱ抜かれて「それは弊社が正式に発表したものではありません」と否定されてきたニコンのミラーレス機。

ついに正式発表となった。
ニコン側からすると、「ミラーレス機ではなく、『レンズ交換式アドバンストカメラ』である」とのことだが、機構としては「ミラーとペンタプリズムを排してEVFもしくは背面液晶でフレーミングをさせ、フランジバックの短いマウントを装着した、コンパクトなレンズ交換式カメラ」なので、世の中としては「ミラーレス機」そのものといえる。

また、そのターゲットニーズは岡本恭幸氏によると「デジタル一眼レフカメラの趣味層が確実に拡大している一方で、コンパクトデジタルカメラではちょっと物足りないという人が新しいカメラを求めている」とのことで、いわゆる「ミラーレス機」のターゲット層そのものである。
素直に「ミラーレス、遅ればせながら、うちもがんばります!」と言えばいいのにね。

名称はとりあえず、置いておいて。

特徴としては、

・高速AF (確かにミラーレスが弱いのはAFの合焦速度なので、いい訴求点です。位相差AFとコントラストAFの組み合わせ。)

だろう。

気になるのは、センサーサイズが小さいということ。

Nikon 1のセンサーはCXフォーマットで、13.2×8.8mmというサイズ。

SONYのNEXシリーズは、ミラーレス機でも最大のAPS-Cサイズで、23.4×15.6mm

次いで大きいのは、フォーサーズ(4/3型)規格のOLYMPUS PENシリーズとパナソニックのGFシリーズで、約17.3×13mm

ミラーレス一眼で一番小さなフォーマットはPENTAXのQシリーズで、1/2.3型6.2×4.2mm
これ、実はRICOHのコンデジCXシリーズと同じサイズ。つまり、Qシリーズは悪く言ってしまえば、コンデジをレンズ交換できるようにしただけとも取れる。(持ってる人すみません。。)

ちなみに、伝統的に用いられてきた35mmフィルムの感光面のサイズは、36×24mmで、デジカメの世界ではフルサイズと称されている。

さて、これらを面積順に並べてみよう。

フルサイズ:  36×24=864   (これを基準値100%とする)
APS-Cサイズ: 23.4×15.6=365.04 (42%)
4/3型:    17.3×13=224.9  (26%)
CXフォーマット:13.2×8.8=112.2 (13%)
1/2.3型:   6.2×4.2=26.04  (3%)

CXフォーマットは対角線が1インチなので、1/1型と書くこともできる。なので、ちょうどフォーサーズとPENTAX Qシリーズの中間に位置しているのが分かるだろう。

ミラーレス機には、APS-Cから1/2.3まで幅広い撮像素子が搭載されており、素子の大きさがどのように写真に影響を与えるか知らない人たち(特にその層がメインターゲットなわけで、どいひーな話なのだが)にとっては、困惑する原因になるだろう(それか全く知ることなく、デザインとフィーリングとCMの印象と店員の話術と在庫の状況によって半自動的に決まるかもしれないが)。

もし、真剣に背景をボカした写真を撮りたくて、それでいて小さくまとめたいのであれば、NEXをおすすめする。(これは、本音)

それにしても、フルサイズの素子と比べると、PENTAX Qシリーズは、僅か3%の素子面積で「一眼レフ」を謳っているわけか。。

CXフォーマットも13%なのでかなり小さい印象だが、そもそも随分と売れているフォーサーズ規格であっても僅か26%なのにはちょっと驚いた。

一般の人からすると、フォーサーズ規格でも十分「背景がボケる」と感じるわけで、「コンデジ以上、デジタル一眼未満」の層の人にとっては、CXサイズでも十分なのかもしれない。

ここらへんが、ニコンの読みなのだろう。

一方で、これはカメラ仲間であれば賛成してくれると信じて疑わないのだが、一度一眼レフ、とくに中判までかじってしまった人からすると、CXの撮像素子サイズは「何か物足りなくない?」と首を傾げてしまうのだ。

それはきっと、僕たち(カメラ好き、マイナー集団)が、ミラーレス機を、

「デジタル一眼レフの代替機」

と観ているからだろう。
APS-Cサイズ以上のデジタル一眼に慣れ親しんだ人、さらに、それにも飽き足らず、フルサイズで撮っている人からすると、「撮像素子って大きくないとボケ量が少ないし、高感度ノイズも出やすいよね」と無自覚に思っているので、撮像素子が小さいと食指が伸びないのだ。

逆に考えれば、ニコンがCXフォーマットを作った背景には、

ターゲット層は、「デジタル一眼が重いので、ミラーレス機に戻ってきました」という「出戻り層」ではなく、あくまで「現在コンデジをメインに使っているけど、なんか綺麗な写真も撮りたくなってきた」という「デジタル一眼のエントリーユーザー(デジタル一眼未経験者)」である、

という決断があったという風にも取れる。

ニコンが想定する顧客のパスウェイ(成熟度の方向性)は、恐らく「一方通行」である。

コンデジ→ミラーレス(CXフォーマット)→デジタル一眼(APS-C、DXフォーマット)→フルサイズデジタル一眼(FXフォーマット)

この流れの逆流は、基本的には「無視できる」マイナーニーズと仮定されていると思われる。

このため、僕のようなマイナーニーズの持ち主が、「CXぅ!?小さくない!?」といくら喚いても、恐らくニコンはミラーレスでAPS-Cサイズやフルサイズの素子を搭載したモデルは作らないだろう。

「でかい素子がお好きなら、どうぞこちらへ。」
と、スっとD7000を出してきたり、

「おやおや、もっと大きい素子がお好きなら、どうぞこちらへ。」
と言って、D3SやD3Xを出すつもりなのだろう。


これは、企業のラインナップの作り方として、非常に正しいやり方である。

ライバルCanonでは、APS-CサイズにKissシリーズ、60D(二桁Dシリーズ)、7D(APSサイズの一桁Dシリーズ)と三つもラインを作ってしまい、ターゲット層の区分けに苦しんでいる(ように勝手に思っている)。

ならばいっそのこと、Kissシリーズに当たる部分(エントリーモデル)は、ミラーレス層と重なるのだから、ばっさりとミラーレス機を出して、コンデジからフルサイズに至るまでのベルトコンベアーに自社製品だけで載せてしまった方 がいい。よっぽどいい。と、ぼちぼちCanonの人たちも思っているはずなので、Canonも多分、そう遠くない未来にミラーレス機を出すんだろうなぁ、なんて思ってしまった。

それよりも、マイナー集団としては、そろそろEOS 5D Mark IIIを出してほしい。

DIGIC5の搭載(これは確実)、ISO感度の向上(常用感度で12800まで、実用感度で3200)、AF測距点の増加(せめて20点。30点行けば御の字)、連続撮影速度の向上(3.9→せめて8)、バリアングル液晶の搭載(これは、まぁーできたらで)、HDR撮影(微妙なところ)、プラスチックの質感の向上(これは多分されない)、軽量化(絶対無理だけど)と色々ある。

正常進化を望むばかりである。

だって、コンデジ→ミラーレス(CXフォーマット)→デジタル一眼(APS-C、DXフォーマット)→フルサイズデジタル一眼(FXフォーマット)
の流れが一方通行だとしたら、フルサイズまで行き着いた人は、フルサイズの新型を待つしかないのである。

(中判デジタルに逝く、という手もあるが。100万の投資が必要である。中判フィルムは既に手を出してしまった。もしや・・・大判フィルムか?)