2011年10月7日金曜日

100. Steve Jobs 1955-2011


アップル社の前CEO、Steve Jobs氏が2011年10月5日逝去した。

アップル社の創始者の1人であり、
Macintoshを生み出した。

アイコンをクリックすることでアプリケーションやフォルダを操作する、という現在では一般的となったPCの操作概念を生み出した(そしてWindowsにも採用された)。その結果、一般人には敷居が高い「コマンド入力による操作」から人々は解放され、PCを直感的に操作できるようになった。

iMacを生み出し、
それまでの「PCのデザインは事務用品の延長線でも構わない」という概念を壊し、「PCもインテリアの一部であり、デザイン性があるべきだ」という感性を人々に気付かせた。

iPodとiTunesを生み出し、
それまで「音楽はCDを買って聴くもの」もしくは「CDを借りてMDやテープにダビングして聴くもの」という概念を壊し(その結果、アメリカではタワーレコードが潰れ、一世を風靡していた日本の電機メーカーのMDコンポは駆逐された)、「音楽はダウンロードして購入し、PCで管理し、気軽に大量に持ち歩くことができるもの」という新しいスタイルを定着させた。

iPhoneを生み出し、
「携帯電話は、キーと画面が別々であるべき」、「インターネットと携帯用ネットワークは別でも問題ない」という概念を壊し、「携帯電話は、電話機能だけでなく、PCと同レベルでメールやWebを利用でき、大画面で操作できるべき」という感性を人々に与えた。

アプリの概念を生み出し、
「携帯やPCの機能は発売当初から固定されている」という概念を壊し、「アプリを追加することで、機能の拡張は気軽に、頻繁に、大幅に行える」という概念を生み出した。


そして重要なこととして、
Steve Jobs氏が生み出した製品は、どれも美しかった、という点も見逃せない。

僕は「アップル信者」という程、アップルに傾倒はしていないが、それでも、アップルの製品には美しさを感じてしまう。

最近、iPhone 4のケースが欠けてしまい、ケースを付けずに剥き身のまま使用していた。実際そのようにしてみて分かったのは、「この製品はケースなど付けるべきではなかったな」ということだ。

ケースで覆われてしまう背面に触れてみると、ディスプレイの面と同様の滑らかな触感を感じる。表と裏で感覚が近く、その結果、触感上に一体感が生まれている。
ケースの分だけ厚みがあったが、それが無くなることでよりその薄さが際立ってくる。

表面の硬質感、剛性感を頼りに目を閉じて想像すると、磨き上げた1枚の大理石のような感覚を抱く。この小型で美しい石盤には、様々な情報が流れ込んで来て、僕に多くのことを語ってくれる。

今日一日のWeb閲覧の履歴だけ見ても、
  • 食べログで立川周辺のお店をチェック→パスタの名店が閉店予定であることを知る
  • 昨日久しぶりにテレビで見た相川七瀬の半生をWikipediaで確認
  • 相川七瀬とPUFFYの吉村由美が似ていることを知る。言われてみればそうだ。
  • デジカメウォッチで昨日から大きな変化がないことを確認
  • 富士フィルムの新作Xシリーズ X10の外観を確認。
  • 富士フィルムの新作Xリシーズ X-S1の外観を確認。ペンタ部には何が入っているのか?
  • デジカメinfoで富士フィルムのミラーレス一眼に関する情報を確認(4/3ではない)
  • 今週末の天気を確認
  • グランドハイアット東京のお店を確認。→鉄板焼きの「けやき坂」でランチ
  • 4×5カメラの種類を調べる
  • 埼玉スーパーアリーナのイベント情報をチェック→SIAM SHADEがまだ活動していることを知る。
  • 4×5カメラのトヨフィールドについて仕様をチェック
  • 食べログで 浦和の店のランキングを確認

と言うように、ちょっとでも気になったことは片っ端から検索し、情報を得ているというのが事実だ。

普通の携帯電話を使用していた時、僕はここまで気軽にネット検索を行わなかった。ネット検索は、家か会社でPCの前に座って、というのが当たり前だった。
しかし、今では電車の待ち時間でも、電車の中でつり革に掴まりながらでも、トイレの中でも、テレビを見ている最中でも、食後のまったりとした時間でも、歩きながらでも、寝る直前でも、「調べることができる」。

このため、僕に流れてくる情報の「流速」が明らかに上がったと思う。

これも、元を辿れば、「Steve Jobs氏のおかげ」ということになる。
この遠く離れた日本の、見ず知らずの一会社員の生活が、彼の仕事によって変わった、ということになる。


Steve Jobs氏の仕事、
それは多くの変革を生み出した。
それは美しかった。

ソフトバンクの孫正義社長は、Steve Jobs氏を現代のレオナルド・ダ・ヴィンチと喩えた。その心は、「芸術と技術を融合させた天才」だそうである。
的を射ている。

また、米国の新聞 The Miami Heraldでは、
Jobs, who founded and ran Apple, told us what we needed before we wanted it.
(アップル社を創始し率いたジョブズ氏は、「私たちが望んでいるもの」を私たちに教えてきた—私たちがそれを欲しがる前に。)
と表現している。
これは、彼が成し遂げた偉業をよく表した表現だと思う。

彼は、人類のその他大勢よりも、「未来の自分たちが何を欲しがるのか」に早く気付けた。
そのニーズを、テクノロジーと自身の美学を持って、製品に結実させた。
そういうことなんだと思う。

アップル社の公式サイトでは、今、Steve Jobs氏の顔写真がトップに載せられている。この写真をダウンロードしてみると、ファイル名はこうだった。


t_hero


その通り。
彼は、英雄である。