2010年3月10日水曜日

049. ついにきた。(ペンタックスの本気)


(ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)


(つ・・・ついにやりおったぁああああああああああああああああああ!!)



不覚にも昼休み。
ディスプレイの前で、咆哮してしまった(脳内で)。
そう、(一部の人が)待ちに待っていた「ペンタックス 中判デジタルカメラ」が発表されたのだ!!

「されたのだ!!」

って強調しても、ほとんどの人には全く意味不明だと思うが、これはとてもとてもすごいニュースなのである。どれだけすごいかは、以下の引用記事を見てもらえば一目瞭然であろう(カメラ好きには)。

出典:価格.com 2010年3月10日 11:59掲載(←掲載からわずか20分後にはチェックしていた(笑))
ペンタックス、4000万画素の中判一眼レフ「645D」
HOYAは、「ペンタックス」ブランド初となる中判デジタル一眼レフカメラ「PENTAX 645D」を発表。5月中旬より発売する。
35mm判の約1.7倍となる44×33mmのコダック製約4000万画素CCDイメージセンサーを採用。広範なダイナミックレンジによる階調再現性や質感の描写にすぐれており、圧倒的な描写性能を実現している。
また、デジタル一眼レフ専用画像処理エンジン「PRIME II」を搭載し、中判デジタル一眼レフ用アルゴリズムにより、階調豊かで色再現性にすぐれた高画質画像を実現。4000万画素の大容量画像データも高速転送が可能だ。
カメラ本体の外装には、軽量かつ堅牢なマグネシウム合金を使用し、シャシーには熱による膨張や伸縮が小さく、高い動作精度と安定性を発揮するアルミダイキャストを採用。上面と背面のLCDカバーを硬質保護ガラス製にすることで強度を高めている。
さらに、70か所にシーリングを施した防塵・防滴構造マイナス10度までの動作を保証する耐寒性能、5万回の作動に耐える最高速度1/4000秒の新開発シャッター機構などを装備。大型の撮像素子を搭載しながらも、156(幅)×117(高さ)×119(奥行)mmで重量約1480gと、機動性にすぐれたボディサイズを実現している。
機能面では、新開発の高精度11点ワイドAFセンサーを装備し、撮影時の光源情報も取り入れることで、高精度なオートフォーカスに対応。ガラス製のトラピゾイド(台形)プリズムのファインダーを採用し、視野率約98%の広視野で撮影が行える。
液晶モニターには、約92.1万ドットの3.0型液晶モニターを搭載。上下左右それぞれ約170度の視野角により、ローアングル・ハイアングル撮影なども快適に行える。外光の反射を抑えて映り込みを軽減する「AR(Anti-Reflection)コート」が施されており、日差しの強い屋外でも見やすくなっている。
このほか、バッテリーには大容量のリチウムイオン充電池を採用し、1回のフル充電で約800枚の長時間撮影が可能。カードスロットとして、SD/SDHCカード用のスロットを2基装備する。価格はオープン。


ね?
もう今年一番のビッグニュースとして認定してもいいくらいである。
そもそも、AF自体が珍しい中判カメラで、4000万画素のCCDで、防塵防滴もして、マイナス10℃まで耐えて、重量もレンズを合わせてもせいぜい2kg程度(LズームとEOS-1Vの組み合わせと大差ないレベル)、SDHCカードも使えて、それなりにデータの移動速度も確保されているだなんて・・・!!

「ペンタックスが本気になりよった・・・!!」

とビシバシ感じらざるをえないっ・・・!

と同時に、

「ちょっと遅いよ。。」

というのも本音である。
何を隠そう、僕はペンタックスユーザー歴3年ながら、2009年末にキヤノンに乗り換えた、言うなれば「裏切り者のユダ」なのだ。

当時、僕はどうしても「35mm判フルサイズ」をやりたかったのだが、ペンタックスのデジタル一眼レフはみな、小振りなAPS-Cサイズのものばかり。
フラッグシップ機である「K20D」の後継機として、「K-7」という機種が発表されたが、それもAPS-Cサイズ。
その小型高性能、「プレミアムスモール」という商品コンセプト、操作性やファインダーの見え方、グリップの握りやすさ、カスタムイメージの豊富さなどが高く評価され、確かによく売れたが、「35mmフルサイズ」をやりたい自分としては「APS-Cでフラッグシップ?このサイズでフラッグシップなの?」と、不満を感ぜずにはいられなかった。

K-7の後継でフルサイズが出るだろうか?)

僕はしばらく迷ってから、「もう待ってられない!だって青春は今だもの!」と結局、フルサイズデジタルを豊富に出しているキヤノンに乗り換えたのだった(とはいえ、いきなり35mmフルサイズデジタルのカメラは高すぎた(25万くらい)ので、35mmフルサイズのフィルムカメラEOS-1Vを中古(7万くらい)で買ったのだが)。

さて、そんな苦渋の別れを告げたペンタックスだが、今回発表した「中判機」はそのフルサイズのさらに1.7倍(!)の撮像素子を有するカメラである。
つまり、僕が欲していた「35mmフルサイズデジタル」を超えて、「中判デジタル」までぶっ飛んでしまったのだ。

・・・しかし、昔からペンタックスというのは不思議なラインナップを揃えるメーカーである。

銀塩時代を振り返ってみると、
1980年にフラッグシップ機「ペンタックスLX」が「世界初の密閉構造を持つ小型、堅牢ボディー」のコンセプトで作られ絶賛された(ちなみに、この絶賛されたコンセプトを最新のフラッグシップ機「K-7」は引き継いでいる)が、それ以降、後継と呼べるような高性能フラッグシップ機は登場せず(あえて言うと1/8000秒のシャッタースピードを出したZ-1か)、結局、いつのまにやらデジタルの時代を迎えてしまった。
LXの後に発表されたMZシリーズも、MZ-3までは発売されたがその進化形と目されていたMZ-1は登場しなかったし、最後の銀塩フラッグシップ的位置づけとして発表されたMZ-Sは、キャノンやニコンの中級者向け機種とそれほど大差ない性能で、ペンタックスファンをガッカリさせた話はあまりにも(ペンタックスファンには)有名である。)

しかし、その一方で、ペンタックスの「中判銀塩一眼レフカメラ」は名機と呼ばれるものが多く、今でも根強いファンがいる。
僕が顔を出させてもらっている社会人サークル「ニーチ」でも、よくペンタックス6×7やペンタックス67IIを持っている人を見かける。いわゆる「化けペン」と呼ばれる機種で、一見すると「異常にどでかい一眼レフカメラ」だ(そのため、「お化けペンタックス」=「化けペン」と呼ばれる)。
(なお、中判カメラは、伝統的にウエストレベル(腰の当たりに持ってファインダーを覗き込むタイプのカメラ)が多いが、ペンタックスだけはなぜかアイレベル(ファインダーを目の前に持ってきて撮影するタイプのカメラ。いわゆる一眼レフカメラはこれに当たる)にこだわって重たい中判であってもアイレベルで作るのだ。この妙なこだわりは、「無骨なカメラメーカー」という感じがして好感が持てる。)

また、雑誌のコンテストでも、特に風景部門でペンタックスの中判カメラは未だにちらほらと見かける。
やはり、中判フィルム特有の広い階調再現性は、たとえ相手が35mmフルサイズデジタルであったとしても、未だに優位性を保っているのだろう。

さて話を新製品に戻すと、フィルムであってもフルサイズデジタルに優位性を持つ中判カメラが、(たとえ645と比較的小振りな中判とはいえ)4000万画素のCCD素子を備えたわけである。(※僕の認識としては、同じ撮像素子サイズであれば、フィルムよりデジタルの方が「解像度」という観点では勝っていると仮定している。)

これはとんでもないモンスターがやってきたもんである。

35mmフルサイズは出さないのに、さらに大きな中判デジタルは出す。」

というペンタックスの思い切り方は、ある種「弱小メーカーなりの戦略」なのかもしれない。

正直言って、35mmフルサイズのカテゴリーで、今更キヤノンやニコンを追いかけても、到底勝てる戦ではない。
そもそも、これら2大メーカーには、35mmフィルム時代から続く「35mmフルサイズに最適化された名レンズ」が多く在りすぎる。
このレンズ群にキャッチアップしなければ、例え、35mmフルサイズデジタルのボディーを出したとしても、競争優位性は得られないのだろう。そして、それはもはや不可能に近い。

とすると、残りは、キヤノンやニコンが手を出さない「中判カメラ」となる。
実に合理的。
弱者の論理なのかもしれないが、その一方で「生き残りをかけた必死の一手」とも取れて、実に感慨深いのである。

さて、色々と思うがままに書き綴ってきたが、ここにきて唯一の問題は「お値段」である。
実際,中判カメラのデジタル版というのはマミヤ等が既に手がけてきた。
その価格というのは、一番安いもので・・・

マミヤデジタルパックM18/ 645DF/AF80mmDキット
146万1520円なり。

・・・。
150万(笑)

ちなみに、上位機種ともなると、

マミヤデジタルパックM31/645DF/AF80mmLSDキット
205万5740円なり。

・・・。
200万超えちゃってる(笑)

うーん。
645であっても、中判デジタルってめっちゃ高いということか。
では、ペンタックスの中判は一体いくらになるのか?

50万未満だったら、これは完全に虜にされるな」

と思っていたが、どうやら本体価格は

80万円らしい。(by読売新聞)

ううーーん。
ちょっと、高いな。。

マミヤに比べると、レンズ含めて100万円は切るから安い(と言えば安い)のだけれど、元段階(まだデジタル初モデルで数値性能をどこまで信じていいのか未知数)でボディー単体で80万はきつい。

とはいえ、愛すべきペンタックスの「反撃の狼煙」が上がったのなら、
歓迎すべきことだろう。

ちなみに、マウントはキヤノンに乗り換えたわけだが、
それはあくまでも35mm一眼レフカメラでの話である。

中判はそもそもマウントの径から違うので、全く別もの。
35mmはキヤノンで、
中判はペンタックスでも、まっったく!自然なのである。
そう、ファーストクラスでフライトアテンダントが食事中の乗客にワインをサーブするのと同じくらい自然なのである。

つまり、障壁はない。
あとは、先立つもの、かぁ。
それが一番問題だったりして。


listening to 「All Hope Is Gone /Slipnot