2011年2月3日木曜日

068.ああエジプト(半年前と今)

エジプトがすごいことになっている。
わずか半年前に僕はそこにいた。
暴動が起こっているその背景には、あのとき見たエジプト考古博物館が見える。

「ああ、あそこか。」

ニュースの向こうに「実感」が湧く。
あの宿から歩いて、、そうだな、20分くらいのとこ。
今でも僕は地図無しで、そこに辿り着けるだろう。

政情が不安定にならなくたって、エジプト人は日々、喧嘩をしている。
それは事実だ。
町中を一日ほっつき歩けば、2〜3回は盛大な口喧嘩に出会えるはずだ。
5〜6人が互いをののしり合ったり、なだめ合ったり。

しかし、今回の暴動は明らかにそれとは違う。
死者まで出しちゃだめだろう。
馬から引きずり落としちゃだめだろう。
そのあと、7〜8人が囲んで、殴ったり、蹴ったりしていた。
ひとり、ふたりではなく、7〜8人。
タイマン、ではなく、7〜8人。
いわゆる「砂にする」ってやつだ。
7〜8人が殴る、蹴る。
鼻血が出ていた。
そのあとも殴る、蹴る。
顔が不自然に横に揺れていた。
そのあとも殴る、蹴る。
もう無抵抗だ。
そのあとも殴る、蹴る。
そりゃ死ぬって。
そんだけ殴ったら死ぬって。
もうやってる方は、完全に憂さ晴らし。
「どうなろうと、どうでもいい。」
そんなかんじで殴る、蹴る。
どうでもいい外野の連中が、やってきては、殴る蹴る。


そんなこんなで、何人か死んだ。
日本ではちょっと考えられないけど、まぁでもそんなところだろう。
あの国は。

かつて居た場所で、暴動が起こった。
死者が出た。
でも、そのことにちっとも違和感を感じない。
僕が見たエジプトは確かにそんなかんじだった。

「ああ、エジプトかぁ。たしかにありそう。」

そう思えた。
残念だけど。
事実だ。