前回に引き続き、写真展に出展した作品をアーカイブとしてここに残す。こちらの作品は、「オブジェ(立体物)」の形式を取っており、画面や誌面で伝えることが難しいが、平たく言えば、「箱」である。
箱の蓋部分に「写真1」があり、その蓋を開けると「写真2」がある。写真1と写真2は、ある「意図」を持って「対」にさせられている。この「意図」が、この作品のコンセプトである。
1枚目を見てから、2枚目を見るというワンテンポの遅れや、「開ける」という動作そのものが作品の一部であるため、安易に2枚をここで並べても残念ながら興ざめするだけだ。クリックして2枚目を表示させればWebでもそれなりに再現できるはずだが、時間もないので、とりあえずここでは、箱の外観や展示風景だけを残しておく。
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この作品は6個の箱から成っており、それぞれにナンバーが振られている(1〜6)。
展示している台(これも自作で、大変だった)は少しずつ高さを上げており、順番に見てもらえるように誘導する役割と、ナンバー毎にレベルが上がっていく寓意を与えていた。
写真の「順序」(=ストーリー)は以下のような意図に基づき決定した。
1箱目はこちらの意図を分かりやすく伝えるストレートなものを。
2箱目は少しテーマをずらし、余白を与える。
3箱目はドスンッと一回たたき落とし、軽い恐怖を味わってもらう。
4箱目は3箱目の余韻を引きずって、作者の意図に否が応にも気付かせる。
5箱目にさらなるショックを与えて、視覚的に追い打ちをかける。
僕が想定(期待)していたのは、「6箱目を開けることが怖い・・・」という心理状態だ。
1箱目から5箱目で、見る人は「開けたら何かがある。予期していない何かがある。」ということを悟ることになる(そうあってほしい)。
その上での6箱目。
ある程度覚悟して、開く。
そこに待っていたものはーー
ここでは触れないが、展示の様子の写真にあるように、ある人は苦笑いし、またある人は不快感を露にし、またある人は無言で立ち去った。
その様子を見ながら、僕はつくづく「写真って面白いなぁ」と思う。写真は視覚を共有できる。世界を切り貼りして、意味を与えることができる。何の脈絡もない組み合わせだってできるし、因果関係を無視することも、また跳躍して間の時間をすっ飛ばすこともできる。実際、この作品に使った写真は、2009年〜2012年までの4年間のもので、時間的な意味で言えば大いに「跳躍」している(間がすっ飛んでいる)。また、場所もインドネシア、中国、タイ、埼玉、神奈川、東京とこれまた「跳躍」している。この節操のない、飛び方が写真を組み合わせる面白さのひとつだと思う。
これ以外にも今回は写真の面白さや特性について色々と考えることがあった。(「写真」が自分にとってちょっとしたブームなのだ。今更だが。)
それについては、次の記事に書こうと思う。
箱の蓋部分に「写真1」があり、その蓋を開けると「写真2」がある。写真1と写真2は、ある「意図」を持って「対」にさせられている。この「意図」が、この作品のコンセプトである。
1枚目を見てから、2枚目を見るというワンテンポの遅れや、「開ける」という動作そのものが作品の一部であるため、安易に2枚をここで並べても残念ながら興ざめするだけだ。クリックして2枚目を表示させればWebでもそれなりに再現できるはずだが、時間もないので、とりあえずここでは、箱の外観や展示風景だけを残しておく。
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タイトル:Uncover it
私たちの多くは、「日常のベール」に包まれて生きている。
そのベールによって、本来あるはずの「事実」や「プロセス」を覆い隠し、 快適な日々を過ごしている。
つくづく、良くできた制度だなと思う。
この作品では、ベールが隔てる二つの世界を、写真によって強制的につなげてみた。
「ベールの存在」を剥いでほしい。あなた自身の手で。
使用カメラ:
キヤノンEOS-1V キヤノンEOS 5D Mark II フジフイルムFinePix X100 ペンタックスK200D アップルiPhone 4
+++ 作品について +++この作品は、二枚一組の写真と一つの箱で構成されている。通常、組写真は誌面や壁面など同一平面上に配置されることが多いが、本作品では、一枚目は箱の蓋表面に、二枚目は箱の中に据えられている。この結果、「蓋を開ける」という身体的な行為によって、初めて二枚目の写真が見られる構成となっている。是非、箱を手に持って、蓋を開けてみていただきたい。
Title: Uncover it
Many people are living with ‘veils of daily life’.The veils can hide the inconvenient facts or processes for us, and give us comfortable daily lives instead.
This must be well-designed social and mental system, I think. At the same time, I also think the people look like anesthetized patients. The worlds that they’re perceiving seem to be ambiguous.
I tried to forcibly combine the ‘worlds partitioned by the veils’, by using 2 photographs.Please uncover the veils, by yourself with the box.
Camera:Canon EOS-1V, Canon EOS 5D Mark II, Fujifilm FinePix X100 Pentax K200D, Apple iPhone 4
+++ About the piece +++This piece is composed of 1 box and 2 photographs which are paired each other. Generally, paired photographs are placed on a same page of magazine or a wall, anyhow that is one plane. On the other hand, this piece has 2 layers. The first photograph is set on the cover of the box, and the second one is inside the box. Only the physical action, I mean your uncovering it, can show the second photograph to you.
+++展示の様子+++
この作品は6個の箱から成っており、それぞれにナンバーが振られている(1〜6)。
展示している台(これも自作で、大変だった)は少しずつ高さを上げており、順番に見てもらえるように誘導する役割と、ナンバー毎にレベルが上がっていく寓意を与えていた。
写真の「順序」(=ストーリー)は以下のような意図に基づき決定した。
1箱目はこちらの意図を分かりやすく伝えるストレートなものを。
2箱目は少しテーマをずらし、余白を与える。
3箱目はドスンッと一回たたき落とし、軽い恐怖を味わってもらう。
4箱目は3箱目の余韻を引きずって、作者の意図に否が応にも気付かせる。
5箱目にさらなるショックを与えて、視覚的に追い打ちをかける。
僕が想定(期待)していたのは、「6箱目を開けることが怖い・・・」という心理状態だ。
1箱目から5箱目で、見る人は「開けたら何かがある。予期していない何かがある。」ということを悟ることになる(そうあってほしい)。
その上での6箱目。
ある程度覚悟して、開く。
そこに待っていたものはーー
ここでは触れないが、展示の様子の写真にあるように、ある人は苦笑いし、またある人は不快感を露にし、またある人は無言で立ち去った。
その様子を見ながら、僕はつくづく「写真って面白いなぁ」と思う。写真は視覚を共有できる。世界を切り貼りして、意味を与えることができる。何の脈絡もない組み合わせだってできるし、因果関係を無視することも、また跳躍して間の時間をすっ飛ばすこともできる。実際、この作品に使った写真は、2009年〜2012年までの4年間のもので、時間的な意味で言えば大いに「跳躍」している(間がすっ飛んでいる)。また、場所もインドネシア、中国、タイ、埼玉、神奈川、東京とこれまた「跳躍」している。この節操のない、飛び方が写真を組み合わせる面白さのひとつだと思う。
これ以外にも今回は写真の面白さや特性について色々と考えることがあった。(「写真」が自分にとってちょっとしたブームなのだ。今更だが。)
それについては、次の記事に書こうと思う。