去る2012年10月9日から14日まで、所属する写真サークル「ニーチ」の写真展に作品を出展していた。
渋谷にあるギャラリー「ルデコ」で、2階と3階の2フロアに渡って、計33名が作品を出品した。来場者は、各階で大体370人ほどで、アマチュアがやる写真展としては多かったほうだと思う。
(とは言え、700人ほどの年もあったらしいので、メンバーとしては少ない方とのこと)
普段、他人に写真を見せる機会など(Web上を除いて現実世界で)あまりない自分としては、これだけ多くの人に自分の写真を見てもらえる機会は他に無い。
ありがたいことだ。
このグループ展は今年で9回目だそうで、自分としては2回目の出展だった(前回は一昨年)。
2回目ということで、今回は、多少実験的な要素を入れて、作品を制作してみることにした。特に以下のようなことを意識していた。
特に最後のものは理解しにくいと思うが、オブジェ作品の方(今回はいわゆる「壁掛けの写真展示」と、「写真を使ったオブジェの展示」の2種類の展示を行った)を見ていただけた方にはいくらか伝わったと思う。
(「トラウマになりそうです」という感想までいただけた。こちらのスタンスが真っすぐ届いた証拠であり、とても嬉しい。ショックを受けた方には申し訳ないような気もするが、コンセプトとストーリーが決まった時点で、あれ以外の終わり方はあり得なかったと今でも思っている。)
製作途中では、少し手加減しようかと思ったりもしたのだが、出し切って良かったと思う。
今回は作品を見た見ず知らずの人から何度か声をかけられることもあった。こういうのは、なかなかないことなので、「ああ、やってみてよかったなぁ」と思っている。
見に来ていただけたみなさま、どうもありがとうございました。
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さて、ここでは、自分の作品が忘却の彼方に追いやられてしまう前に、作品概要、キャプション、製作意図についてアーカイブを残しておこうと思う。
写真作品とは、本来「物質的」なもので、プリントとして提示された「そのもの」でなければ、本当の意味でのアーカイブはできないのだが、ここでは割り切ることにする。
(一方で、厳密な話をすれば、彫刻や絵画のように、その「一回性」や「テクスチャ」や「サイズ」がよりモノを言う芸術に比べれば、写真は「複製技術時代の芸術」であり、「物質的な制約」からは、これら他の芸術媒体よりも遠い存在である。そういう意味においては、むしろ節操もなくここに作品のサムネイルを載せることは、写真の特権を行使しているとも言える。ただ、いかんせん、オブジェ作品の方だけは、鑑賞者の身体的な操作も加わって初めて作品となるので、Web上での再現が難しい。本当にドライなのはオブジェの方なのだが、残念だ。)
まず、壁掛け展示した方の作品から。
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渋谷にあるギャラリー「ルデコ」で、2階と3階の2フロアに渡って、計33名が作品を出品した。来場者は、各階で大体370人ほどで、アマチュアがやる写真展としては多かったほうだと思う。
(とは言え、700人ほどの年もあったらしいので、メンバーとしては少ない方とのこと)
普段、他人に写真を見せる機会など(Web上を除いて現実世界で)あまりない自分としては、これだけ多くの人に自分の写真を見てもらえる機会は他に無い。
ありがたいことだ。
このグループ展は今年で9回目だそうで、自分としては2回目の出展だった(前回は一昨年)。
2回目ということで、今回は、多少実験的な要素を入れて、作品を制作してみることにした。特に以下のようなことを意識していた。
- 初めにコンセプトを決めて、それから写真を撮る。
- コンセプトをベースに、写真を選ぶ。
- 主観的になりすぎない。客観的に、突き放す。
- 人によく思われようとしない。やりたいことに忠実になる。
- 見る人を「傷つける」くらいのつもりでやる。
特に最後のものは理解しにくいと思うが、オブジェ作品の方(今回はいわゆる「壁掛けの写真展示」と、「写真を使ったオブジェの展示」の2種類の展示を行った)を見ていただけた方にはいくらか伝わったと思う。
(「トラウマになりそうです」という感想までいただけた。こちらのスタンスが真っすぐ届いた証拠であり、とても嬉しい。ショックを受けた方には申し訳ないような気もするが、コンセプトとストーリーが決まった時点で、あれ以外の終わり方はあり得なかったと今でも思っている。)
製作途中では、少し手加減しようかと思ったりもしたのだが、出し切って良かったと思う。
今回は作品を見た見ず知らずの人から何度か声をかけられることもあった。こういうのは、なかなかないことなので、「ああ、やってみてよかったなぁ」と思っている。
見に来ていただけたみなさま、どうもありがとうございました。
+++
さて、ここでは、自分の作品が忘却の彼方に追いやられてしまう前に、作品概要、キャプション、製作意図についてアーカイブを残しておこうと思う。
写真作品とは、本来「物質的」なもので、プリントとして提示された「そのもの」でなければ、本当の意味でのアーカイブはできないのだが、ここでは割り切ることにする。
(一方で、厳密な話をすれば、彫刻や絵画のように、その「一回性」や「テクスチャ」や「サイズ」がよりモノを言う芸術に比べれば、写真は「複製技術時代の芸術」であり、「物質的な制約」からは、これら他の芸術媒体よりも遠い存在である。そういう意味においては、むしろ節操もなくここに作品のサムネイルを載せることは、写真の特権を行使しているとも言える。ただ、いかんせん、オブジェ作品の方だけは、鑑賞者の身体的な操作も加わって初めて作品となるので、Web上での再現が難しい。本当にドライなのはオブジェの方なのだが、残念だ。)
まず、壁掛け展示した方の作品から。
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タイトル: 見 え な い
私の体重は69kgで、眼鏡の重さは16g。重量としてはわずか0.03%にも満たないが、眼鏡なしでは出歩くことすらままならない。 目を凝らしても、見えない。
そのもどかしさを、写してみようと思った。
眼鏡をはずしたとき、私はこんな世界に放り込まれる。
使用カメラ: フジフイルムFinePix X100
+++ 製作プロセス +++製作では、「視野の再現」を念頭において各パラメータを決定した。まず、裸眼で焦点の合う距離を測定したところ、目の表面から約17cmだった。ヒトの眼球は平均で直径およそ2.4cmであり、内径を2cmと仮定すると網膜から焦点の合致する距離までは約19cmとなる。このため、カメラの焦点距離を19cmに固定することとした。次に、ヒトの視界の縦横比を測定したところ約1:1.37であり、A3サイズの紙(1:1.41)に近いことが分かった。一方、カメラの撮像素子(APS-Cサイズ)の縦横比は1:1.50であったため、プリントの段階で左右を裁ち切りA3サイズに合わせることとした。ヒトの中心視野の画角は焦点距離43mmのレンズ(35mm換算)に近いとされているが、プリント段階で左右の裁ち切りがあることを考慮して、やや広い35mmのレンズを用いることとした。以上の条件を満たすカメラとして、フジフイルムのX100(35mmレンズ(35mm換算)、最短撮影距離10cm、APS-Cサイズセンサー)を選択した。なお、ヒトの目が虹彩による自動絞りを採用していることから、絞りは任意の値(F4-11)とし、撮影時に眼鏡をはずして実際に見えたボケ感に最も近い絞り値を選択した。
Title: can’t see My body weight is 69kg and my glasses are 16 g, this means my glasses are only <0.03% in weight. However, the value of my glasses must be greater than the weight. I cannot go out without my glasses. I can’t see, even if I look hard at.
I came up with an idea to capture my feeling in the blurred world. When I take off my glasses, I am put into such a blurred world.
Camera: Fujifilm FinePix X100
+++ Method +++I determined each parameters in order to recreate my viewing field. First, I measured the distance between the surface of my eyes and the focal plane with my naked eyes. That was approximately 17 cm. The diameter of human eye is reportedly about 2.4 cm on average. Assuming that the internal diameter of eye is 2 cm, the distance between the retina and the focal plane is 19 cm. So I fixed the focus of the camera as 19 cm. Next, I tried to measure the aspect ratio of the human view, the result was about 1:1.37, which was close to A3 size paper(1:1.41). Meanwhile, the aspect ratio of imaging sensor (APS-C size) is 1:1.50, so I decided to cut the right and left side of photographs to make it A3 size. Generally the central viewing field of human is reportedly close to the view which captured by 43 mm lens converted in Leica format) in terms of field angle, however, I selected 35 mm lens in consideration of cutting process. To meet these requirements, I selected the Fujifilm X100 (35 mm lens(in Leica format), minimum shooting distance = 10 cm, APS-C sized sensor). Additionally, human eyes use automatic diaphragm, I set the aperture as certain range (F 4-11), and then I selected the best aperture by comparing the photos and the real view with my naked eyes.