インドネシアから戻って来て2週間。
ようやく本調子に向かいつつある今日この頃。
さて、昨日と今日は、写真サークルの仲間達と、越後妻有「大地の芸術祭」に行ってきた。
「大地の芸術祭」は3年に一度のアートイベント(ということで、「トリエンナーレ」と称されている。ちなみに「ビエンナーレ」というのは2年に一度)で、「東京23区より広い」というとてつもなく広大な里山が会場となる。この里山に、様々な現代アート作品が点在しており、参加者は地図を頼りに作品を訪ね歩くことになる(正確には車での移動だが)。
廃屋や廃校を丸々作品にしたものも多く、作品の「中」に入ることができてしまうのが、この芸術祭に出展される作品の特徴だと思う。このような「参加型」の作品では、特に強いアート体験をすることができる。それこそ、日常から「異世界」に踏み込んでしまったような。
今回は、写真好きの仲間達と一緒だったので、これでもか!というくらい、アートだけでなく、写真も楽しめた。これが何よりうれしかった。
僕は今まで基本的に1人で写真を撮ってきたので、誰かと(しかも複数人で)撮ることがこんなに楽しいとは思っていなかった。感謝感謝である。
また今後も、写真仲間達と何かしらの撮影ツアーをできたらなぁと思う。
さて、そんな芸術祭を終えてみて、今、2つの構想が僕をワクワクさせている。
1)「趣味の雑誌社(仮)」構想
【動機と背景】
・色々な人と話をしてみたい。
例えば、お気に入りのラーメン屋の店主に、ラーメン人生について聞いてみたい。
例えば、売れていないインディーズのロックバンドに、音楽に賭ける情熱について聞いてみたい。
・しかし、現実には、「街ですれ違う大部分の人とは会話をしないのがルール(一種のマナー?)」であり、人口が過密している東京であっても、「本当にコミュニケーション可能な人」というのは意外と少ない。というか、驚く程少ないのではないか?
・話をしない/できない、という「目に見えない壁」はどうやったら超えられるのだろう?本当は、その壁の向こうには、僕の知らない楽しい世界が待っているのかもしれない・・・!
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【方法】
・Webベースの「雑誌」を作る。そのための会社を作る。会社と言っても、利益は出さないので、厳密にはNPO法人?か。
・僕はその会社の特派員として、インタビューを行う。(あくまで「仕事」として、が重要。)
・インタビューは、一般的にはまだ注目されていない人(若手のアーティスト、ミュージシャン、写真家などのクリエイター系の人々や、家具店、古着屋、ラーメン屋、喫茶店などのご主人、工事現場のおっちゃんなど労働者)に行う。
・このため、若手のクリエイターには「作品の宣伝になる」というメリット、お店の主人には「お店の宣伝になる」というメリット、労働者には「注目されることの嬉しさ」というメリットがある(人に依るが)。
・一方、僕には、「今まで知らなかった世界」「考え」「目線」を知ることが出来る、というメリットがある。
・ただし、金銭のやり取りは一切発生させない。あくまでも、「興味の報酬」がこの会社の売り上げであり、製品の「雑誌」そのものが、その報酬の塊でもある。
この「仕事ベースでコミュニケーションのきっかけを作る」というのは、真面目な日本人にとっては「見えない壁を取り払う」のに有効だと思う。
2)「格安ガイドで東京の観光力と日本人の英語力を活性化させよう!」プロジェクト
【動機と背景】
・英語を話す機会がほしい。
・半年程前、東京のゲストハウスに潜入して、外国人のバックパッカーと無理矢理知り合ってみた(Learningのコーナー参照)。実際にやってみると、日本にいながらにして「留学体験」ができる上に、外国人と友達になれるのでとても楽しい。さらに、日本の様々な慣習/風物詩/歴史/文化/建築等を説明しなければならないため、「日本という国」を再認識することもできる。まさに、「一石三鳥!」。
・今日も、たまたま新潟の電車の中で、イタリア人とメキシコ人の建築家と知り合った。新潟での新幹線の手配や、東京から渋谷までの案内をしてみて、喜ばれたのが単純にとても嬉しかった。(本当はめちゃくちゃ疲れてたけど、意外とすんなりできてしまうものなんだなぁと再確認)
・こんなに、効用のある行動なら、きっとやりたいと思う人もいると思う。特に、英語を本当にできるようになりたい!けど、留学は出来ない・・・と考えている悩ましき若者はたくさんいると思う。そんな人に、「国内での留学体験」をさせてあげたい。それで、英語が話せる若者がもっと増えたら、日本人の英語力を上げるとてもいいことだと思う。
・さらに、そんな若者によって、外国人は「格安で」東京をディープに観光できることになれば、きっと外国人旅行者にとっても嬉しいことに違いないと思う。そうすると、東京の観光力もちょっとは上がるんじゃないか?
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【方法】
・「英語学習者が外国人旅行者をガイドして、英語力と観光力を一気にあげちゃいます!」という趣旨のNPO法人を作る。
・東京にあるゲストハウスと提携し、ゲストハウス内にガイドが出入りすることを許してもらう。(ガイドは、ゲストハウスに宿泊することにする。このため、ゲストハウスにはガイドの宿泊代が入るというメリットがある。その代わり、ゲストハウスにはポスターを貼らせてもらい、宣伝させてもらう。)
・外国人が支払うガイド料は、ゲストハウスの宿泊代の半分(大体1500円〜2000円くらい)。
・ガイドは―泊二日丸々行う。(なので、1500円〜2000円はかなり安いと言えよう。)つまり、外国人旅行者には、「格安でガイドが手に入る」というメリットがある。
・一方、ガイドとなる日本人の英語学習者にとっては、「プチ国内留学」というメリットがある。つまり、ガイドは、「東京観光案内」というサービスを提供しつつも、自身としては、「英語の練習機会」という貴重な時間を享受している、とも言える。このため、ガイドも「一泊二日の英語の練習機会」に対する対価として、宿泊費の半分を支払うことにする。これで、ゲストハウスに支払われるガイド自身の宿泊代はまかなわれることになる(外国人が支払うガイド代+ガイドが支払うプチ留学代=ガイドの一泊分の費用=ゲストハウスのメリット)。一泊二日の英語合宿など、通常、1万円はかかるので、これは英語学習者にとっても大変魅力的だろう。
・つまり、みんなハッピーなのである。利益は出さなくていい。もし理想を言っていいのなら、「教育は無料であるべきだ」と思う。しかし、実際には雇用が発生するため、無料というわけにはいかないし、それどころか、英会話教室の隆盛を見ると、「教育は金になる」というのが社会の常識らしい。しかし、この仕組みでは、それを真っ向から否定してみたい。つまり、学習者は本当に最低限の費用(自身の宿泊費の半額だけ。)で、実践的な学習機会を与えられるのだ。もちろん、この学習というやつは、講義を聴くような「受動的なサービス教育」ではない。自らがガイドとして、外国人旅行者に素敵な思いでを作ってもらう、という(一見)過酷な使命を担わされるものである。しかし、これはすなわち「自発的な学習」を自ずと実現してしまう仕組みでもある。そして、言わずもがな、「受動的なサービス学習」よりも「自発的な学習」の方が、はるかに身に良くつく!のである。
この構想は以前から考えていたことではあるが、ここまで具体的に思い浮かんだのは、大地の芸術祭でボランディアとして会の運営を手伝っていた「こへび隊」の存在によるところが大きい。
こへび隊は、金銭的なメリットはほとんどないが(ボランティアなので)、
期間中、様々なアート作品に触れられるという「無形の報酬」を得ている。
それで、あの巨大なフェスティバルの運営が行われているのである。
これには恐れ入った。
しかし、僕たちは、「無形の報酬」であっても、それが自分にとって「本当に価値がある」と思えたら、行動を起こすのである。
これは、非常に魅力的なことだと思う。
人は「金銭ではない他の何か」によっても、「動きたい」と思える。
素晴らしいではないか。
経済学が前提とする「経済主体としての人間観」から、確実に逸脱した「人間像」を、僕はそこに見ることができる。
そして、そこに、大きな可能性を感ぜずにはいられない。
何かを起こしてやろう。
,listening to 「ハイウェイ/くるり」