先日(2012年9月30日)、六本木ミッドタウンで開催されたTOKYO PHOTO 2012へ行ってきた。
今年で四回目ということだが、自分は初めての参加である。
これもひとえに、定期購読を始めた写真雑誌IMAの招待券のおかげだ。
(通常は入場に1500円かかる)
ここではそのとき取ったメモを残しておこうと思う。
様々な収穫があったが、大きなものとしては2つ。
1)鈴木理策さんがサイン会を開いており、幸運にもサインをもらうことができた。「分離派宣言、がんばってください!」と言おうと思ったのだが、この宣言について、どれだけ深く理解できているか自信がなく、また勇気もなく、結局「ありがとうございました。」とだけ言って去ることになる。とはいえ、初対面で嬉しかった。なるほど、この人があの写真を撮るのか、と。
2)作品の価格というものを、試みに、ドラゴンボールで言う「戦闘力」に置き換えると(無粋なことかもしれないが)、結構値札を見るのが愉しくなる。傾向としては、
という感じだった。
もちろん、今回出品された作品にも、エディションとして価値が低いものが混じっていたと思うので、上限はもっと上にあると思う。(エグルストンの有名な三輪車の写真は、4900万円ほどで落札されたことがあるので、エディション的に希少なものはこのくらいまで跳ね上がる。その点を考えると、今回は1000万越えのものがなかったので、ギャラリーとしては比較的イベントに出品しやすいものを選んでいたようにも思える。来場者に制限がない(プロのみの来場ではなく一般人も入れる)のもそのおかげかもしれない。)
気になった作家をメモしておく。特に気になったものに☆を付けた。
約1000点の見応えは、相当あったと思う。
改めて思ったのは、「写真に国境はない。」ということだ。
「スポーツに国境はない。」というのは有名だし、「音楽に国境はない。」というのもよく言われる。つまり、「言語」ではなく、「身体」に帰属するものは、基本的にホモサピエンス間で無条件に交換可能であるということだ。味覚に依存する「料理」もそうだろう。各国で馴染みやすいようアレンジはされるものの、料理は国境を越えている(今夜はナポリ風ピザだった)。嗅覚に依存する香水だってそうだ。日本ではそれほど強いものは好まれないが、それでもなお、外国産の香水は一定の地位を得ている(高校時代とCK oneの香りが結びついているのは、恥ずかしくもあり、懐かしくもある)。写真も視覚に訴えるものであり、言語は補足になるにしても、基本的には独立変数と考えていい。
言語を伴わないものは、情報量が少ないという欠点を持つが、一方で、一国に閉じることなく(言語の勢力圏に依らず)拡散する性質を持ちうるということだ。普段、海外の写真に接していなかった分、こういったことを強く感じる結果となった。
面白いなぁ。
来年も是非行きたいと思う。
欧米、中国などから著名なギャラリーが集まり、時代を代表する作品(それは例えば、アウグスト ザンダーのような1920年代の名作から、マッギンレーの最新作のようにごく最近のものまで含まれる)が出品され、観賞するだけでなく、購入もできるイベントである。
今年で四回目ということだが、自分は初めての参加である。
これもひとえに、定期購読を始めた写真雑誌IMAの招待券のおかげだ。
(通常は入場に1500円かかる)
ここではそのとき取ったメモを残しておこうと思う。
様々な収穫があったが、大きなものとしては2つ。
1)鈴木理策さんがサイン会を開いており、幸運にもサインをもらうことができた。「分離派宣言、がんばってください!」と言おうと思ったのだが、この宣言について、どれだけ深く理解できているか自信がなく、また勇気もなく、結局「ありがとうございました。」とだけ言って去ることになる。とはいえ、初対面で嬉しかった。なるほど、この人があの写真を撮るのか、と。
2)作品の価格というものを、試みに、ドラゴンボールで言う「戦闘力」に置き換えると(無粋なことかもしれないが)、結構値札を見るのが愉しくなる。傾向としては、
- 歴史的に、地位が確立された作家(ザンダー、エグルストン、マーティン パー、アヴェドン、ポール ストランド、ウォーカーエヴァンス、ベッヒャー夫妻など写真の歴史本に名前が大きく出てくるような人々。いわゆる巨人達。)は、当然ながら高い。大体100〜750万くらい。
- 今をときめく作家は、そこそこの値段60〜150万くらい。
- 日本人の作家はかなり有名な人でも比較的安い。30〜60万円くらい。新人作家では3万円というのもあった。
という感じだった。
もちろん、今回出品された作品にも、エディションとして価値が低いものが混じっていたと思うので、上限はもっと上にあると思う。(エグルストンの有名な三輪車の写真は、4900万円ほどで落札されたことがあるので、エディション的に希少なものはこのくらいまで跳ね上がる。その点を考えると、今回は1000万越えのものがなかったので、ギャラリーとしては比較的イベントに出品しやすいものを選んでいたようにも思える。来場者に制限がない(プロのみの来場ではなく一般人も入れる)のもそのおかげかもしれない。)
気になった作家をメモしておく。特に気になったものに☆を付けた。
- Jean Baptiste Huynh Official web site: http://www.jeanbaptistehuynh.com/
- Philippe Calandre / Slio 2001 / Official web site: http://www.philippecalandre.com/main.html
- Loan Nguyen / Basin 2000 / ¥510,000 Official web site: http://www.madameloan.com/
- Denis Darzacq / Hyper 15, 2007 / ¥1,106,000(浮遊少女の元祖かも?)Official web site: http://www.denis-darzacq.com/
- Bernard Faucon / Official web site: http://www.bernardfaucon.net/v2/index.php
- Anders Ptetersen / Vasagatam Stockholm 1968 / ¥2,615,000
- Ryan McGinley / Black forest / ¥1,344,000, Kaboom / ¥2,467,500
- 蜷川 実花 / Plant a tree / ¥304,500
- Laurie Simmons / Man/Sky/Puddle/Second View/ ¥2,662,800
- Nick Brandt / Elephant Train Amboseli 2008 / ¥270,000
- David Drebin / Jerusalem 2011 / ¥410,000
- Elger Esser (好ましい淡いプリント)☆ Official site: http://www.elgeresser.com/index.php?id=38
- Martin Parr (暴力的なビビッドさ)
- Joann Callis
- Tereza Vlgkova (双子写真?フェイク?)
- Susan Perges(フォトグラムっぽい)
- Edward Weston
- Dodie Weston (Edward Westonの息子の嫁さん。Edward Westonのフィルムから作品を選び出し、再度プリントしていたもので、3000〜5000USDだった。再プリントだから安いのだろう。)
- Chen Baosheng / Open Air Theatre (この作品は人物のものだが、本来は馬の写真が代表的な作家。馬の「龍性」を捉える。)
- Yang Yongliang / Snow City Quaternity 02 / ¥375,500 (中国の山水画と現代の街をミックスさせたような作品。写真と絵画の中間のようなイメージ)☆ 紹介Web site http://mag.9bic.jp/yang-yongliang/
- Paolo Roversi
- 山本糾
- 川田喜久治
- 西村陽一郎 / 青いバラ / ¥400,000
- さをり にのみや / 鎮魂景 / ¥30,000
- 佐藤信太郎 / 2010年11月3日新小岩 / ¥262,500
- 新井卓 / 放射性のヤマユリ(飯館村)ダゲレオタイプ / ¥277,788
- 横須賀功光 / Cave(壁)
- 北井一夫(農村風景が多かった)
- オノデラユキ / Portrait of second hand cloths(あの衣服の写真シリーズ)/ 窓の外を見よ☆
- Michael Kenna / ¥473,000 (日本の風景を再発見している写真家。この人の写真は本当に好きなのだが、どうしてもこういう風には撮れない。。)☆ Official web site: http://www.michaelkenna.net/
- Masao Yamamoto / ¥108,000☆(変な喩えかもしれないが、Michael Kennaに近いものを感じる。それは「和」だ。)Official web site : http://www.yamamotomasao.jp/
- Sarah Moon / Fashion (pour New York Times) 1998
- Richard Avedon / ¥7,350,000(今回気付いた中で、最高額だったと思う)
- Nastassja Kinski and the Serpent
- Helmut Newton / ¥2,310,000 (今回出品数が多かった。複数のギャラリーが扱っている)
- Yuki Tawada / Layered / 複雑な形のパネルが3層に重ねられたオブジェのような作品。
- Jonas Bendiksen / The place at live Mumbai 2006 / ¥235,000☆(マグナムフォトの一員。現実の報道でありながら、絶妙な、ある意味で絵画的な構図。瞬発力とセンスの調和。裏打ちする行動力。うーんこの人の本はほしい。)紹介サイト:http://thephotosociety.org/member/jonas-bendiksen/
- Elliot Erwitt / ¥ 340,000 (エディションNo.不明。サインあり)
- Steve McGurry / Afgan girl 1984 / ¥600,000(友人からもらったNational Geographicの表紙に選ばれていたアフガニスタンの少女を写した写真。オリジナルプリントで見れるとは。吸い込まれるような目だった。)
- Rong Rong & inri (双子の三つ編み)
- 林ナツミ(浮遊少女の人。売れてるなぁ。木村伊兵衛賞かな?)
- August Sander / Two boxers / ¥ 630,000 (あの有名な「拳闘士」の写真である。それでも安いのは、エディションが切られていないからなのか。そうはいっても、リアルに見れるとは。)
- Lee Friedlander / Self portrait / ¥238,000
- Ellen Kooi / out there (とても不思議な写真だった。僕には真似したくても決してできないタイプの写真。大判カメラ×ファンタジー。)☆ Official web site: http://www.ellenkooi.nl/
- Eterplan:縮面加工された上質紙。テクスチャとして面白い。
- Ansel Adams / Sand Dunes, Sunset, Death Valley 1948 / ¥1,200,000
- Paul Strand / New York roof tops 1916
- Walker Evans / New York Skyline / ¥900,000
- William Eggleston / Sign between two tree 1972 / ¥950,000
- Joel Peter Witkin
- シカマタケシ
- Hamid Sardar
走り書きをそのまま転記したので、スペルミスがあるものと思うが、とりあえず「とっかかり」のテキストとしてメモっておく。これからそれぞれを検索し、その作家の他の作品を見てみたい。
しかし、上記のメモをしていたとは言え、4時間ほど滞在していたことになる。
約1000点の見応えは、相当あったと思う。
改めて思ったのは、「写真に国境はない。」ということだ。
「スポーツに国境はない。」というのは有名だし、「音楽に国境はない。」というのもよく言われる。つまり、「言語」ではなく、「身体」に帰属するものは、基本的にホモサピエンス間で無条件に交換可能であるということだ。味覚に依存する「料理」もそうだろう。各国で馴染みやすいようアレンジはされるものの、料理は国境を越えている(今夜はナポリ風ピザだった)。嗅覚に依存する香水だってそうだ。日本ではそれほど強いものは好まれないが、それでもなお、外国産の香水は一定の地位を得ている(高校時代とCK oneの香りが結びついているのは、恥ずかしくもあり、懐かしくもある)。写真も視覚に訴えるものであり、言語は補足になるにしても、基本的には独立変数と考えていい。
言語を伴わないものは、情報量が少ないという欠点を持つが、一方で、一国に閉じることなく(言語の勢力圏に依らず)拡散する性質を持ちうるということだ。普段、海外の写真に接していなかった分、こういったことを強く感じる結果となった。
面白いなぁ。
来年も是非行きたいと思う。