2014年11月30日日曜日

189.ニュージャージー州の運転免許取得試験

去る11月26日に、ニュージャージー州の運転免許試験(筆記試験)を受けて、無事免許を取得した。

翌日の木曜日はThanksgivingという祝日で、その翌日も会社が休み。

ということで、11月26日(水)に免許を取得できるのがベスト。

しかも、州の法律で、海外からの移住者は、入国から60日以内に免許を取得するよう定められている(国際免許の有効期限はあと10ヶ月くらいあるので、運転自体は一応許されるが、本来は60日以内に取得しないといけない)。自分は9月26日に入国したので、ぎりぎりのタイミングでもあった。

午前中9時半まで電話会議に出て、出発。

試験会場まで車で40分。

天候は、まさかの雪。

試験会場に着いて、6ポイントのID証明書を提出するのだが、既に30人ほど並んでいた。

20分ほど待った時点で、大声で警備員(?)のような男が話しだした。

「免許登録のためのシステムがダウンしてしまった。あなたたちは帰ってもいいし、残ってシステムの回復を待ってもいい。しかし、先週起こった際は復旧まで丸一日かかった。自分の判断で決めてくれ。」

自分の前に並んでいた男は、「ここはいつもシステムダウンしてばかりだ。先週も同じことがあって、俺は帰ったよ。」と悪態をついていた。

MVC(自動車協会)のオフィスは大体評判が悪い。

無愛想な係官に、手続きの手違い、無礼な対応、大声で文句を言われ、いらだつ受験者達、と相場が決まっている。(試しに Google MapでMVC New Jerseyと検索してみるといい。1点評価ばかりで、最悪の対応だった、これまでで最低の経験だった、というような内容のコメントをどうやって英語で書けばいいか学習できる)

なるほど、確かにそんな感じだ。
とはいえ、自分は冒頭の理由もあり、1時間は待とうと決めた。
オフィスの中とはいえ、コートを着込んでいないと寒い。

(思わぬところに落とし穴があったな。)

仕事と生活基盤の構築に時間を割いてきた結果、運転免許は後回しになってしまった。
しかもこの試験、意外と落ちることで有名なのだ。
また、受かったとしても、本来日本の免許を持っていれば免除されるはずの路上試験が、課されてしまう人もいる。


  • 試験に落ちる
  • 試験に受かったが、路上試験をやらされる


この辺りが嫌なシナリオだなと思っていた(それに加えて、会場に着けない、または会場に着いたが、受付を締め切られて受けられないというリスクもあったが、これらはこの時点で既にクリア)

しかし、まさかのシステムダウン。

前の男は、「天候のせいだ。」と言っていたが、天候に左右されるITシステムに支えられた社会というのは、どうなんだろう。

ただ、アメリカに来てから2ヶ月、こういうことにたまに出くわす。先日は、郵便局がシステムダウンを起こしてCloseしていた。

持参した柿の種をぼりぼり食べながら待つこと50分ほど。
会場の左の方で歓声が上がった。
システムが復旧したらしい!
やった!

なぜか受けられること自体に喜びを感じてしまう。
ある意味でアメリカに慣れてきた証拠かもしれない。

(アメリカでは、社会手続き系の対応が全体的に悪い。いわゆる「お役所仕事の上から目線」というのとはベクトルが異なる悪さで、具体的には「入れ墨を腕一杯にしたおばさんが、ガムをくちゃくちゃやりながら、大声でナンバーを呼び、無愛想に書類を点検した上で、9番窓口へ行け、と言うのだが、9番窓口は間違いで、また30分列に並ばされた挙げ句、途中の手続きが抜けていた、と後になって別の窓口で怒られる」というような、レベルの低いものだ。まずコミュニケーションスキルと言われるものが、ほぼないような人たちが雇われている。ここでは、「お客様は、単なる人」だし、「手続きをしてやっている」という世界だ。それでも誰も怒らないし、むしろ気遣って、「Have a nice day」と言っている受験者すらいる(皮肉かもしれないが)。ただ、なぜか、IDチェックを終えてから入るシステムの登録を行っている人たちはまともで、コミュニケーションもしっかりしていた。採用の段階で入り口が異なるのかもしれない。)

さて、自分は6ポイントのIDを以下のように提出した。

  • パスポートとI-94
  • Social Security Card
  • Union BankのATMカード

さらに、住所確認書類として、
  • Union BankのBalance Statement(現住所宛に郵送されたもの)
を提出した。
これですんなり通ることができた。
(色々な人の体験談を見るに、IDチェックで突き返されてしまう人も多いようだ。)
パスポートでは、L1ビザの確認もされたので、そのつもりでいた方がいい。
(念のためビザ関係の書類も持参したが、それは要求されなかった)
また、
  • 日本の免許証
  • 国際免許証
を持参した。人によっては、日本の免許証の英訳と英訳証明書を提出するよう求められる人もいるようだが、自分の場合は求められず、運が良かったのだと思う。
担当官は、有効期限の「平成XX年」を西暦に直すのに苦労していた。

さて、その後、写真を撮影し、お金を払い、試験会場(別の建物)に移動し、目の検査を受けてからパソコンで試験を受ける。
パソコンでは日本語訳をつけることも可能で、念のため日本語訳付きで受けた。
実際は日本語訳が謎なことも多く7割英語、3割日本語という感じで解いたと思う。
50問出題されるが、分からない問題はどんどんスキップしていい(後になってもう一度出てくるらしい)。
40問正解した時点で合格。
10問不正解の時点で不合格。
一問解くごとに正解かどうか分かるので、分かりやすい。
自分は40問/40問で無事合格。(このためスキップした問題がリピートされるという仕組みは経験していない)

試験勉強をきちんとした甲斐があった。運転教習のテキストはMVCのHPからダウンロードできるのだが、200ページほどあり、試験問題はまんべんなく出題される。このため一通り読むことにしたのだが、大体3日くらいかかってしまった。

Webには練習問題と称するページが沢山あるのだが、いまいち的を射ていないものが多く、変に難しかったり、逆に簡単すぎたりする。また、古いページの場合、模範解答が古く間違っているケースもある(罰金などは頻繁に改訂されるので、古くなりやすい)。
ということで、以下、参考までに思い出せた問題を列記するが、もし参照する人がいたとしたら、これは2014年11月26日時点での問題である点に注意してほしい。

  1. GDLが運転できる時間は?(5:01AM - 11:00PM)
  2. 21歳以上のGDLが運転できる時間は?(時間の制約はない)
  3. GDLは監督下での運転練習が必要だが、この監督を行う人の条件は?(21歳以上、NJ州の運転免許を取得し3年以上の運転経験がある、前の座席に座っている)
  4. Special Learner Permitは何歳からか?(16−17歳)
  5. GDLのProbationary Licenseの有効期限は? (1年)
  6. Basic Driver Licenseは何歳から取得可能か?(18歳)
  7. Probationary License取得の条件は?(6ヶ月のsupervised drivingを行っており、その期間に違反なく、MVCの路上試験を合格し、17歳以上である)
  8. トラック等大型の車両の後ろを走るとき、車間距離を広めるとるべきなのは、なぜか?(トラックの運転手に自分が見えるようにするため)
  9. 路面の状況が悪いとき、普段より車間距離を広めにとるべきなのはなぜか?(can take to react)
  10. 消火栓から何フィート離れて駐車すべきか?(25フィート)
  11. 結婚等で氏名が変更になった場合、何日以内に届け出るか?(2週間以内)
  12. 他の州から引っ越してきた場合、車の届け出をいつまでに出せばいいか?
  13. アルコールの血中濃度(BAC )が0.05%のとき、リスクは何倍になるか(2倍)
  14. 1.5オンスのウィスキーは他のアルコールに換算すると?(12オンスのビール)
  15. 免許を偽造した場合、どのような懲罰を受けるか?
  16. スクールバスが学校の前で乗降をしている際、安全が確認できれば通り過ぎることができる。このとき、時速何マイル以下にしなければならない?(10mph)
  17. 上り坂で駐車するとき、車輪の向きはどちらに向けるべきか?(縁石と反対側 away from the curb)
  18. スケートボーダー、インラインスケーターは、何と同じ権利をもっているか?(動いている乗用車)
  19. 子供を乗せるときには、どこに乗せるべきか?(後部座席。後部座席がない車に限って、前の座席にすることが可能)
  20. 21歳以下のGDLはsupervised drivingを行う前に、何をもらうことになるか?(2枚のDecal(前後のナンバープレートに1枚ずつ貼付するステッカーみたいなもの))
  21. Uncontrolled intersectionで複数の車が来た場合、一般的なルールは?(自分から向かって右側の車に、優先権(RIght of way)を譲る(yield))
  22. 交差点にある横断歩道(Crossswalk)の近くで駐車する場合、何フィート離れるべきか?(25フィート)
  23. 交差点で道路と垂直に引かれている白い線では、どうすべきか?(白い線の手前で止まる)
  24. Turnする場合、何フィート手前でSignalを出すべきか?(100フィート)
  25. Railroad crossing when there flashing lights, ringing bells or flag signals, 運転者はどうすべきか?(15フィート離れて止まる)
  26. 路上で縦列駐車するときは、縁石から何インチまで離れてよいか?(6インチ)
  27. If a motorist is angry or excited, どうすべきか?(落ち着くまで車に乗らない)
  28. アルコールを体外に排出するのに効果的なものは?(時間をかける)
  29. Highway Hypnosisを防止するのによい方法は?(Not looking at one thing for more than a few seconds)
  30. 前の車との車間距離は時間にするとどのくらいが望ましいか?(3秒間)
  31. Skid(横滑り)を起こしたときは、どうするべきか?(gas pedal(アクセル)から足を離す。選択肢にはなかったが、その後、Skidを起こしている方向と同じ方向にハンドルを切る)
  32. Puddle(水たまり)に入ってしまった後、何をすぐにすべきか?(ブレーキのチェック)
  33. タイヤがパンクしてしまったとき(Tire blowout)、どうすべきか?(Gradually slowing down)
  34. NJ州では何年に1回車検をするか?(2年に1回)
  35. トラックの近くを運転する際に気をつけるべき点は何か?(広い死角(no zone)があること)
  36. 赤い逆三角形のマークは?(Yield)
  37. 夜間での走行では、いつでもどの程度の目安で止まれるように運転するか?(時速XXマイルでXXフィート以内)
  38. Signalを使うときはどんなときか?(曲がるとき、レーンを変えるとき、減速するとき、のすべて)
  39. コーナーを曲がるとき、車は自然とどの方向に行こうとするか?(真っすぐ)

ちなみに、MVCオフィスはLodiにあるオフィスである。

North Bergenのオフィスよりはまともである、との評判で、確かにシステムダウン等あったものの、結果として日本の免許で路上試験をパスできたので、相対的にはいい方なのだと思う。
大体滞在時間は4時間ほどだった。
帰る頃には、車に雪が積もっていた。

「免許取得初日から、雪道かー」

考えてみると、この日、人生で初めて雪道を運転したことになる。
無事に帰って来れてよかった。


これからニュージャージーは本格的な冬を迎える。

2014年11月10日月曜日

188. 位置を変えるということ




位置が変われば、視点が変わる。

それは物理的な意味でもそうだし、
人文科学的な意味でもそうだ。

ましてや言語、文化、政治、経済が異なる世界に身を置けば、
それは、そうなる方が自然だろう。

書きたいことが沢山生まれつつある。
(それは、主に、アメリカについてである)

理解したいことが沢山できた。
(これもまた、アメリカについてである。特に歴史と政治と人間について。)

また、新たに考える視点と支点が、次々とちらついている。
(アメリカを地域に分けてきちんと考えたい。モノクロニックとポリクロニックの対比も含めて、日本とアメリカを比較して理解したい。)

日本にいるときには、どうしても徹底できなかったことが、こちらでは自然とできる(というより、強制的にせざるを得なくて)ということもあった。
(車の運転が代表的で、次に酒量の減少と、体重の減少がある。また、当然ながら英語漬けの毎日で、夢を英語で見るようになってきた。)

組織への貢献と、自己研鑽は両立可能だ。
(これは、英語の運用能力という点で。また、自分自身の判断力、洞察力といった言語に属さないレベルの力もそうだ。)

また、異なる文化圏への適応は、一人旅でのノウハウがそのまま通用することも分かった。
(クレーム対応で何度電話をかけたり、店と交渉したりしたか分からない。粘り強さと、積極性は、旅でも海外での生活でも必須だと思う。)

日々がサバイバルで、気を抜けない。
まだ、仕事では確信が得られるような働きをしていない。
作戦を考えよう。ひとつひとつ実行しよう。
休むときには休もう。
旅に出よう。

今はまだEver Noteと頭の中にあるが、ぼちぼちここに出力していきたいなと思う。