今更だが、2014年のカメラ業界を振り返ってみようと思う。
ごく一部のカメラファン(キヤノンユーザー)の戯れ言なので、その点あしからず。
キヤノン
パナソニック
オリンパス
リコー(ペンタックス)
ごく一部のカメラファン(キヤノンユーザー)の戯れ言なので、その点あしからず。
キヤノン
- 何と言っても7D mark2の発売。これで近年のふにゃふにゃ開発を一掃したかに見えた。が、やはりキヤノン製センサーのDXOスコアは従来通り低調で、スコア至上主義者からは批判を受けることになってしまった。とは言え、AFは最高。位相差AFでの優位性はしばらく続く。しかし、コントラストAFやデュアルピクセルAFでは、まだまだな印象。EVFと像面での処理が依然として課題に見える。
- 力を入れた高級コンパクトクラスでは、G1XからG7Xまで発売。つまり、マイクロフォーサーズから1インチまで、センサーサイズを揃えてきたことになる。これは、キヤノンが他社のアプローチ(マイクロフォーサーズのオリンパス、パナソニック、1インチのソニー)を認めた年だった、とも言える。つまり後追いなのだが、カメラ業界では横綱相撲とも言われる。さて、このような取り組みはいつまで続くだろうか。
- G7Xはソニーセンサー。このため、DXOスコア高し。それでいて6万円台。元祖のソニーRX100Mk3がEVF付きとはいえ8万円台なので、やっぱりキヤノンは商売上手に見える。ただ、実際持って見ると、なんとも言えないもっさり感(デザインとして)があるのは、ちょっと残念だった。
- G1Xは、購入して使っている。手振れ補正が動画撮影時にとてもよく、また家族の写真を他の人に撮ってもらうときにも、顔認識が働くのでピントが合いやすく重宝している。ただ、パナソニックのLX100が登場してしまった今、この機種を積極的に選ぶ必要性はほぼなくなってしまった。ほぼ同サイズのセンサーで、100g近く軽く、EVFまで内蔵されており、デザインもかなりいい。実機をUSで触れられていないのであまり自信を持って言えないが、ひいき目に見てもLX100の圧勝だろう。(G1Xの利点は、70-120mmの望遠域と、ティルト液晶、1日のダイジェストムービーを作れる機能といったところだ)
- 今後、キヤノンに作ってほしいのは、LレンズのEF-M版。これとEVFを搭載した本気度の高いEOS Mが出たなら、僕は飛びつく。
- 気になるのは、新しいLレンズは総じてプラスチッキーであること。もっと金属感が欲しい。コスト的にはだめなのかもしれないが。
- フジフイルムは、カメラよりも医療分野での活躍の方が目新しかったように思う。買収した富山化学が持っていた抗インフルエンザ薬がエボラ出血熱にも有効であるとして、新薬開発を発表。また、3Dプリンタの技術を応用し、再生医療分野にも進出を発表した。こういった新規参入のエリアで成果を上げることは並大抵のことではないと思う。素直にすごいと思う。
- デジカメ事業としては、着実にレンズの本数を増やす一年で、ボディに関しては少し立ち止まった一年だったように思う。恐らく、エントリー機が想定より売れず、戸惑い、戦略の練り直しを行っているように思う。またパナソニックと提携し開発を発表している有機センサーにはあまり期待できなそうだ。
- Xシリーズにはフルサイズセンサー化の噂があったが、今年のメーカーのインタビューを見る限り、APS-Cで腹を括ったようだ。フルサイズは恐らく別ラインにして、レンズ固定式から出してみる、くらいだろう。X100T後継機をフルサイズとし、ソニーのRX1と競わせる、というのもありそうだが、どれだけ事業として魅力的かは疑問である。ビジネスとしては、既存のXマウントのシェア向上が第一だろう。
- しかし、X100Tをレンズを変えずに出したのは英断だったと思う。これでテレコンやワイコンが、X100シリーズ三世代を通して使えるようになった。開発初期に、開発本部長が「10年使える機種を作るぞ」と号令を出したと記憶しているが、この三世代を合わせればもしかすると10年選手にもなるかもしれない。(少なくとも6年くらいは)
- 独自路線を明確に打ち出し、突き進む一年だったと思う。GM1の流れから変調し(いい意味で)、GM5へと進化した。LX100も、とてもよく研究された機種と思う。G1Xを買う前なら、完全にこちらだった(もしくはライカ版)。
- 不思議なのは、ティルト液晶の機種をあまり出さない傾向にあることだ。GM1の後継機には期待していたのだが、見送られてしまった。もちろん小型化を優先ということはあると思うが、RX100Mk3では、あのサイズでできているわけで、やはり選択肢から敢えて外していると見るべきだろう。
- オリンパスも独自路線を進化させる方向だった。EM-1は確かに持ってみると所有したくなる。EM-10も質感は劣るが、タブルのダイアルが操作性抜群で、キヤノンとはまた違った操作性の極みを見たように思う。パナはこの点に欠けている(が、デザインでは勝っている。ブランド名の女性っぽさを除いて)。
- 最近リークした、EM-5の2型には心底惚れ込んでしまった。この比率だよ、この比率。と何度も写真を見直しつつ、得心している。初代EM-5のときもそうだったが、CP+で展示されれば、恐らく最も混み合うブースになるだろう。USにいるのが悔しい限りだ。(ちなみに、カメラやレンズの価格では、USの方が日本よりやや高めの価格設定になることが多い)
- ペンタックスは、ここ3年くらい一人でダンスし続けている。若手が奇抜なデザインを考え、熟練技術者が中身(光学ファインダー、センサーシフト機能、JPEGのチューニング)をがっちり作る。その外と中のギャップが側から見てると楽しいが、やはり自分の好みではないのだな、と思う。相変わらずフルサイズへの参入は噂止まり。来年は出るだろうか。
- リコーはthetaだけだけど、そろそろGX200の後継機(GXRではなく)を出すというのはどうだろうか。あとはフルサイズのGR?レンズが大きくなりそうで微妙だろうか。
- ソニーは今年も台風の目だった。フルサイズでもボディ多産路線とは恐れ入る。α7, 7R, 7Sのように筐体を共通化した上で、センサーだけ変更するという手法は、なるほどと思う。ただ、共通化するのなら、筐体をきちんと剛性感を持たせて作るべきだった。結果、そういった弱点を潰したα7後継機が出たが、ユーザー的にはどうなんだろう。
- ソニーセンサーは間違いなくキヤノン以上で、JPEGの絵作りも正直言って好みだ。ただ、どうしても、カメラとして見たときに、デザインが好きになれない。例えば、ペンタ部分にある社名のロゴだが、もう少し下につけるだけで締まって見えるはずだ。また、ペンタ部とボディとの間に一段間が空いているのだが、ここをなくすよう変更した方がいい。オリンパスのEM-5後継機を是非直視してほしい。せっかく提携しているのだから、カメラとしてのデザインセンスもどうにか協力できないのだろうか。。(個人的には、オリンパスの筐体でソニーのフルサイズセンサーが入ったらと願っている。このとき、僕はマウントをキヤノンから乗り換えるかもしれない)
- デザイン以外で言うと、AFの高速化くらいしか弱点がない。ソニーすごいなぁ。
個人的なこと
- センサースコア至上主義に一時やられて、ニコンに鞍替えしようかとも思った。しかし、どうしてもデザインで萎えてしまう。結局は、好きになれるかどうかが重要なのだろう。
- ニコンの一眼レフでは、なぜ、F3のジウジアーロデザインの差し色(赤線)をくちばしのようなデザインとして残した上で、ブランドカラーは黄色でありながら、ハイエンドレンズでは金色のライン(高倍率ズーム、廉価レンズのタムロンにかぶる)をつけてしまうのだろうか。こういった色の不統一について、メーカーは特に気にしていないのだろうか。(同じことがペンタックスにも言える。ブランドカラーは緑なのか、金なのか。)
- なぜそれほどマッチョなデザインとするのか。
- Nikonの書体はなぜイタリックにしたのか(スポーツブランドのようだ)。
- なぜモデル名がD810のように端数を許すのか。またD7000のような四桁を採用するのか(ここはソニーも同じ)。呼称という点で、言いづらく、また愛着も湧きにくく感じる。
- 上記のようなことは、カメラの本質(どんな写真が取れるのか(センサーと画像エンジン)、その歩留まりはどの程度か(AFとセンサーの高感度耐性能)、携帯性能はよいか(サイズ)、など)とは直接リンクしない。しかし、趣味の範疇では重要な要素だ。好きになれるか。その点には忠実でいたい(でなければ、フイルムカメラなどには手を出せない)。
- こういった思考を経て、結局自分はスペック至上主義ではないことに気づいた。もちろん、そこそこにスペックは欲しいが、一等賞でなくてもよく、むしろ、レンズとカメラの一体感、シリーズとしての一貫性、デザインのしっくり感を重視してしまう。次に、質感性能。未だに、5DMk2が好きなのは、6Dよりも質感に優れているから。使っていて、いいな、と感じる。持って感じる剛性感。
- そのように考えると、改めてLレンズの赤線とEOSのボディとの相性は良く、また、5DMk2のように、5Dのラインに連番が付く呼称は、自分にとって好ましいことがわかった。まだしばらくはEOSユーザーなのだろう。
- あとは、キヤノンがセンサー性能(ダイナミックレンジ)を上げてくれることを祈るのみだ。