「ようやく、この地を踏めたな。」
ちょっとした感慨を感じてしまった。
入社以来、米国小会社へ漠然とした憧れを持っていたので、今回の米国出張は素直に嬉しかった。期間は1週間と短かったが、なるほど、なるほど。
米国では、管理職クラスには7畳程の部屋が与えられ、L字やT字の机で仕事をしていた。一人の専有面積が日本と比較すると圧倒的に大きい。管理職でない人でも、パーティションで区切られ、少なくともL字のデスクで仕事ができる環境が与えられる。
一人の専有面積が広いことは、そのまま建物の大きさが大きいことにつながっている。会社があるのはマンハッタンからハドソン川を渡ったニュージャージーだが、NYの中心地であるマンハッタン島でも「ビルひとつひとつが大きい」ことにまず驚いた。恐らくマンハッタンのビルでも同じように、一人の専有面積が広いのだろう。
次に驚いたのは、Ph.Dが多いこと、また、それがすぐに分かるようになっていること。
一人一人の部屋やパーティションには、表札があり、名前の後に必ず学位が書かれている。Ph.D(博士号)取得者には、Ph.Dと書かれ、医師免許取得者にはM.D.と書かれる。米国が徹底した学歴選別社会であることは聞いていたが、なるほど、実際に目にするとそれがよく分かった。
僕は修士号を取得しているが、MSc(Master of Science)とは書かれない。
(経営学の修士号であるMBAは書かれるが、理学や工学修士は書かれない)
米国で彼らと肩を並べて仕事をしようとすると、Ph.D取得は重要であるように思われる。(とは言え、それ以前に、仕事そのものができないとどうにもならないのだが。)
3つ目に驚いたことは、米国では朝が早いということだ。
朝7時半から会議ということも、ままある。
一方で、夜は早く終わる。
17時半にもなると、もうオフィスには人がいなくなる。
しかし、電話会議が日本や欧州とあることが多いことから、家に帰ってから仕事をすることはあるらしい。
つまり、「オフィスでの残業はしない」という習慣のようだ。
自分が担当している会議そのものは、うまく行った方だと思う。
また、自分の課題や特徴や、やるべきことの輪郭がはっきりして、ますますやる気になってきた。
英語も、もっともっと磨かないといけないなぁ。
純粋にひたすら巧くなりたい。
ここ数年は、仕事で英語を使う機会が増えたため、それにあぐらをかいてしまって、あえて英語運用力を「向上させよう」とはしてこなかった。どちらかと言えば、「維持管理」という感じだ。
しかし、それは、アジアで仕事をする上では良くても、米国で仕事をしようとすると、かなり厳しいことが改めて分かった。現状に甘んじていては駄目だ。
これから、自分の会社でも本格的なGlobalizationが始まるだろう。
それは海外からの波となる。(日本から海外の小会社へ発信する波ではない。海外から、こちら側へ迫ってくる波となる。TOYOTAなど希有な例を除き、島国日本では、いつも海外から黒船を迎える宿命にある。)
その向こう側とこちら側を、最も詳しく、知っているようになりたい。
それが自分の活きる道だと信じるようになった。